進むおおさか東線の整備 非利用者にもあるそのメリット
新大阪駅の大改造も順次進行し、全線開業の日が着実に迫っているおおさか東線。この路線が完成すると、その利用者以外にもメリットがあるといいます。
大改造が続く新大阪駅在来線ホーム
現在整備が進められている、JR西日本おおさか東線の新大阪~放出間。2018年度を予定しているその開業が、少しずつ近づいています。
2015年1月18日(日)、新大阪駅のホームが一部変更されることになりました。これはおおさか東線を迎えるため、同駅で2012年から行われているホーム増設工事の影響です。今回の変更では、JR京都線(東海道本線)京都方面への列車が発着する13、14番のりばが、現在の「2号ホーム」から京都方面を向いてひとつ右側の「3号ホーム」へ移ります。
おおさか東線関連の工事が始まるまで、新大阪駅には4面8線の在来線ホームがありました。それが工事で5面10線となり、京都方面を向いて一番左側、現在は関空特急「はるか」などが発着している「1号ホーム」へ、おおさか東線の列車も発着するようになります。「面」とはホーム、「線」は線路のことです。2本の線路で挟まれたホームが現在、新大阪駅には4つあるため、「4面8線」と表します。
おおさか東線非利用者にもあるというメリット
おおさか東線は「城東貨物線」と呼ばれる貨物線を旅客用に整備するもので、2008(平成20)年3月15日に学研都市線(片町線)放出駅と大和路線(関西本線)久宝寺駅との間が先行開業しました。残る新大阪~放出間の開業予定は2018年度です。おおさか東線の計画は、1952(昭和27)年12月に結成された「城東貨物線客車運行促進同盟会」を始まりとすると、全線開業までおよそ66年を要したことになります。
ちなみに、おおさか東線を建設、保有しているのはJR西日本ではありません。「大阪外環状鉄道株式会社」という大阪府や大阪市、JR西日本などが出資する第三セクター方式の鉄道会社です。おおさか東線はこの大阪外環状鉄道が所有する線路を使い、JR西日本とJR貨物が列車を運行する「上下分離方式」が採用されています。
さてこのおおさか東線が整備されると、その効果は同線の利用者以外にも波及するといいます。
大阪外環状鉄道はその事業計画のなかでおおさか東線の整備効果について、都心から放射状に広がるJRと私鉄、地下鉄のネットワークが形成され、大阪市外縁部における鉄道の利便性が飛躍的に向上すること、国土軸(新幹線)へのアクセスが強化されること、そして都心ターミナルの混雑緩和に寄与することを挙げています。たとえば、久宝寺方面から新大阪駅方面まで大阪環状線経由で移動する乗客がおおさか東線経由になると、大阪駅や大阪環状線の混雑緩和が予想されます。そのためおおさか東線を利用しない人にもそのメリットがある、というわけです。
またおおさか東線は新大阪駅より先、現在整備が進められている大阪駅北側の北梅田駅(仮称)まで直通する計画になっています。
【了】
Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)
鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。
コメント