ローソンにしか見えない関口駅 そこにあるローカル線活性化の可能性
駅のコンビニ化がローカル線を救う?
さて「コンビニ」といえば多様な商品を扱っていますが、この店舗では鉄道のきっぷも販売していたりするのでしょうか。だとするとあまり例のないことですが、長良川鉄道によると店員の負担になること、ワンマン列車のため車内の料金箱で精算できることから、きっぷの販売は行っていないとのことでした。
また店舗に長良川鉄道の車両が描かれていることについても尋ねてみました。すると建物を所有する長良川鉄道がそうしようと考えたのではなく、ローソン側から「何かモニュメント的なものを」という提案があったのだとか。描かれているのはナガラ1形というすでに同鉄道から引退した車両がモチーフで、子供受けが良いといいます。
この長良川鉄道の関口駅付近には岐阜県立関高校があり多くの生徒が利用するほか、近所にコンビニがないため、鉄道を利用しない人からも便利になったと歓迎されているそうです。
過疎化、少子化が進む地方の鉄道では駅の無人化が進み、駅の管理や防犯が問題になっているほか、それによって鉄道も地域も衰退がより進んでしまうのではないかと危惧する声もあります。
しかし関口駅はそうした問題を解決し、サービスも向上。そして人の集まる場所となり、普段は列車に乗らない人にも鉄道の存在を意識させています。
経営難に苦しむ地方の鉄道が少しでも賑わいを取り戻すために、この関口駅と「ローソン 長良川鉄道関口駅店」はひとつの可能性を示しているのかもしれません。
【了】
Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)
鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。
コメント