「ジェイド」中国先行投入のワケ 最新日本車に敏感な中国人

最新の日本車事情が気になる中国人

 この「ジェイド」は昨年、先行して中国市場に投入されたことから、中国を意識したモデルではないかという見方もありましたが、目指すはあくまでも世界。中国へ先行投入した理由を伺うと、最初に手を挙げたのがマーケットの大きい中国だったからといいます。

 自動車需要が高まり続けるアジア地域では根強いセダン人気がありますが、自動車市場として成長している中国の消費者たちは、日本にどんなクルマが存在し、人気を集めているのかということに敏感なのだそう。そんな現地の感度の高い人たちに、ワゴンのようなゆとりをもたらし、セダン感覚の走りも味わえる低床ミニバンは、新鮮かつ魅力的に映っているようです。

 ただ中国ではエンジンパワーが重視されることもあり、ガソリン仕様のみが投入されました。しかし日本市場において、燃費性能や静粛性などが優れるハイブリッドは、いまや外せないアイテムです。そこで更なる作り込みの開発時間が必要となり、日本ではこのタイミングでの投入となりました。

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2013年に登場した5代目「オデッセイ」は全高が1695mm(FF車)あるのに対し、「ジェイド」は1530mmとセダンに近い(画像提供:ホンダ)。

 「ジェイド」のハイブリッドシステムはコンパクトにまとめられており、キャビン側に備わるバッテリーなどのユニットを全てセンターコンソール内に集約。これにより、ガソリンモデルと同一のキャビンとラゲッジスペースの確保を実現しています。ハイブリッド化によるデメリットが少しでも生まれないように、というエンジニアたちのこだわりの現れでしょう。

 縮小傾向にあるミニバン市場。生活の変化と共に、ユーティリティ型のミニバンは不要となっている人も多いようです。そうしたなか、ホンダが得意としていた「ストリーム」や「オデッセイ」といった低床ミニバンのニーズをカバーしつつ、「ジェイド」は「走りの良さ」に磨きをかけることで、「アコードツアラー」など縮小しているツーリングカー市場からの囲い込みも狙っています。低床ミニバンの未来を占う1台として、「ジェイド」に注目です。

 【了】

Writer: 大音安弘(自動車ライター)

1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者へ。その後、フリーランスになり、現在は自動車雑誌やウェブを中心に活動中。主な活動媒体に『ナビカーズ』『オートカーデジタル』『オープナーズ』『日経トレンディネット』など。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。

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