最新方式だったアシアナ機着陸、なぜ事故に パイロット気象変化に対応できず?

4月14日の夜、広島空港で発生したアシアナ航空機の着陸失敗。同空港の滑走路は自動着陸も可能で、「なぜそれをしなかったのか」という見方もあります。しかしそれは正しくありません。実際に行われたのはそれよりもハイテクな方法でした。ではなぜ事故になったのでしょうか。ある「原則」が守られていなかった可能性があります。

見えなければ「ゴーアラウンド」がルール

 162便の着陸時は夜間で見通しが悪く、空港周辺の気象状況もあまり良くありませんでした。しかし着陸直前、20時の時点で滑走路を見渡せる距離(視距離)は1800mを維持しており、「アールナブ・アプローチ」での着陸に問題ない条件です。

 ただその後、雲(霧)の発生で数分、数秒単位で視距離が低下した可能性があり、この場合、瞬間的にパイロットから滑走路が見えなくなることがあり得ます。「アールナブ」は信頼性の高いシステムなので、空港からの距離があれば、その状態でも計器によって進入を続けられますが、安全のための「リミット」は定められています。地上から約450mの高度まで降下した時点で窓から滑走路が見えなければ、「着陸やり直し(ゴーアラウンド)」をしなければいけません。

 山を削って建設した広島のような空港は、最終着陸態勢で乱気流の影響を受け、機体がガクンと突き落とされるようなことも考えられます。しかし、そうした状況も予期できていれば「あらかじめ少し高い高度で進入する」「エンジンのパワーをすぐに上げられる状態を保って慎重に操縦する」など、経験を元にパイロットはあらゆる状況変化に対応する能力を持っているものです。

 162便に判断ミスはなかったのか、事故調査の焦点になるでしょう。

【了】

Writer:

航空ジャーナリスト。パイロットの資格を持つ。航空会社、空港、航空機などの記事執筆・写真撮影を20年以上続ける。『わかりやすい旅客機の基礎知識』(イカロス出版)、『ヘリコプターの最新知識』 (SBクリエイティブ)など著書多数。最近はボーイング787、LCC、オスプレイといった航空関連トピックで、テレビや新聞でもコメンテーターとして活躍中。

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