災害運休続く日高本線、利用状況はワースト5 復旧へのダイヤは
JR北海道はその路線について、利用者の多い区間、少ない区間を発表。災害で運休が続き、復旧への道筋が未だ不透明な日高本線はワースト5に入っていました。
利用者が多い区間は札幌圏に集中
2015年5月8日(金)、JR北海道は2014(平成26)年度決算を発表。そのなかで同年度の利用者が多かった区間、少なかった区間もあわせて明らかにされました。
利用者が多い、輸送密度が1万人/キロ/日以上の区間は次の5区間です。「輸送密度」とは、旅客営業キロ1kmあたりの1日平均旅客輸送人員をいいます。
函館本線:小樽~札幌(33.8km) 4万4099人/キロ/日
千歳・室蘭本線:白石~苫小牧(65.4km) 4万3974人/キロ/日
函館本線:札幌~岩見沢(40.6km) 4万3025人/キロ/日
千歳線:南千歳~新千歳空港(2.6km) 2万9074人/キロ/日
札沼線:桑園~北海道医療大学(28.9km) 1万6873人/キロ/日
訪日外国人の増加などにより空港アクセス路線の千歳線、南千歳~新千歳空港間は対前期比103%を記録していますが、ほかの区間は対前期比97~99%と微減の結果になっています。
対し利用者が少ない、輸送密度が500人/キロ/日未満の区間は次の8区間です。
札沼線:北海道医療大学~新十津川(47.6km) 81人/キロ/日
石勝線:新夕張~夕張(16.1km) 117人/キロ/日
留萌本線:深川~増毛(66.8km) 142人/キロ/日
根室本線:滝川~新得(136.3km) 277人/キロ/日
日高本線:苫小牧~様似(146.5km) 298人/キロ/日
宗谷本線:名寄~稚内(183.2km) 405人/キロ/日
根室本線:釧路~根室(135.4km) 436人/キロ/日
釧網本線:東釧路~網走(166.2km) 466人/キロ/日
このうち日高本線は2015年1月から盛土流出で、留萌本線は2月から土砂崩壊のおそれから運休しているため、それぞれ12月、1月までの実績を元に算出されています。
留萌本線は4月29日に運転再開されましたが、日高本線の復旧は約26億円以上の工事費、約30ヶ月の工期が必要とJR北海道は発表しています。また北海道新聞の報道によると、JR北海道はその準備工事費は負担するものの、本格工事の費用は出さない方針とのこと。輸送密度が298人/キロ/日とJR北海道のなかでも利用者が少ない日高本線、その行方が注目されます。
【了】
Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)
鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。
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