「トワイライト」2ヶ月で復活、その真相とは 背後に見えるふたつの新幹線
新幹線開通で難しくなった「トワイライト」
ひとつが、2016年3月に新青森~新函館北斗間で開業が予定されている北海道新幹線です。
上野駅と札幌駅を結ぶ寝台特急「北斗星」は、「トワイライト」と同じ2015年3月のダイヤ改正で定期運行を終了。以降は臨時列車として引き続き同区間で運転されていますが、2015年8月末、完全に廃止される予定です。
その理由としてJR東日本が挙げたのが「車両の老朽化」と、「北海道新幹線開業に向けた『総合監査・検査』等の実施による青函トンネルの夜間作業間合いの拡大」。つまり北海道新幹線の開業を目前に控え、夜間に青函トンネルの整備などを行う必要があるため、そこに夜行列車を走らせることが難しくなっていることです。「北斗星」がその影響を受けて、同様に青函トンネルを通過する「トワイライト」が影響を受けない理由はないでしょう。
そして2015年3月14日(土)に金沢駅まで延伸開業した北陸新幹線も、「トワイライト」廃止に大きな影響を与えていると考えられます。
北陸新幹線の延伸開業に伴い、その並行在来線である北陸本線は同じく3月14日から、金沢~倶利伽羅間がIRいしかわ鉄道、倶利伽羅~市振間があいの風とやま鉄道、市振~直江津間がえちごトキめき鉄道という第三セクター鉄道になりました。
この第三セクター鉄道化された区間は大阪駅と札幌駅を結ぶ「トワイライト」の経路だったため、仮に現在、往時と同様に大阪~札幌間へ「トワイライト」を走らせる場合、これら通過する第三セクター鉄道3社に「通行料」を払わねばなりません。
上野~札幌間の「北斗星」「カシオペア」は、同様に東北新幹線の延伸開業で経営分離された第三セクター鉄道を2社経由して運行されていますが、そのうちの1社である青い森鉄道には2013年度、「北斗星」「カシオペア」の通行料としてJRから約4億円が支払われています。
難しくなる青函トンネルの通過、そして北陸新幹線開業と同時に発生する「通行料」や手間を考えると、2015年3月のダイヤ改正と同時に大阪~札幌間の「トワイライト」が運行を終えるというのは、ひとつの合理的なタイミングだったといえそうです。
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>往時と同様に大阪~札幌間へ「トワイライト」を走らせる場合、これら通過する第三セクター鉄道3社に「通行料」を払わねばなりません。
平行在来分離区間をJR西日本が第2種にしようとしていたのなら別ですが、通常の旅客列車の直通
ですので、通常は第三セクター鉄道側がJR西日本に対して、車両使用料を支払うことになります。
同じ第三セクター鉄道関連でも、第2種のJR貨物が線路使用料を支払う場合とは異なります。
よって、この記述は誤りかと存じます。
もっとも「北斗星」について「通行料」と記した大手新聞社の記事含め、この辺りの正しい記述が
あまりにも少ないので、整備新幹線がらみの貨物調整金にまで踏み込まないまでも、正しい解説を
別記事で期待したいところです。
並行在来線会社になる区間の運賃・料金収入は、JR西日本に入らなくなります。
並行在来線会社が設立時にその運賃料金収入を当てにしていることは、新聞報道にもあります。
なので、並行在来線会社は北斗星運行継続をJRに要請したとの記事もあります。
並行在来線会社は、収入の穴埋めができるのなら貨物調整金の上積みでもいいと思っているでしょうが。