駅の乗り換え、便利にしたのはひとりの女性 きっかけは子連れ時の苦い経験

駅のホームに、「どの駅は何号車で降りると階段が近い」といった情報が掲示されていることがあります。便利なこの案内、たったひとりの女性の苦い経験とアイディアで始まり、いまではオリンピックも関係するようになりました。

子どもを連れて、エレベーターを探すも…

 何号車に乗ると降りるで階段が近いか、教えてくれる案内を駅で見たことはないでしょうか。この案内は「のりかえ便利マップ」といい、株式会社ナビットの社長である福井泰代さんがたったひとりで始めた“事業”です。

 1995(平成7)年、福井さんが当時生まれたばかりだった2人目の子どもを連れ、地下鉄駅構内でエレベーターを探し迷った苦い経験を元に、「のりかえ便利マップ」の原型を手書きで作ったのがすべての始まりでした。折りしも発明にハマっていた福井さんは、たったひとりで5か月にもわたって都内の地下鉄各駅を巡り、すべての駅で「のりかえ便利マップ」を完成させます。

福井さんが「のりかえ便利マップ」を作成した当時の取材ノート(撮影:太田優翔)

「最初は書籍にしてもらおうと思っていたんです。なので、色々な出版社の方にお会いして、売り込みました。アイデアを買ってくれる出版社もいくつかあったのですが、結局は大きな商売にはなりませんでした」(ナビット、福井さん)

 次に彼女は、鉄道会社に目を付けます。しかし、そう簡単に門戸は開かれませんでした。

 転機になったのは、新しく営団地下鉄(現・東京メトロ)の上層部に来た人物が「わかりやすい地下鉄」をスローガンに掲げたことでした。諦めず足を運び続けていた福井さんのもとに連絡が入ったのが1998(平成10)年。営団地下鉄の銀座線で「のりかえ便利マップ」の掲示が始まるまで、実に3年の月日が経っていました。

「そこからはあっという間でした。おかげさまで評判もよく、一気に都内の地下鉄全駅で採用されたんです」(ナビット、福井さん)

 それからは、乗り換え情報のみならず駅構内図も作成するようになった福井さん。首都圏における駅構内図の73%を作成し、さらに駅だけでなく日本各地の空港の構内図も手がけるようになりました。

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