バスなのに法的には鉄道 奇妙なトロリーバス、実は高い鉄分

日本ではもう「立山黒部アルペンルート」でしか乗ることができないトロリーバス。見た目は「バス」ですが、実は法的には「鉄道」扱いです。いったいどこが「鉄道」なのでしょうか。実際に乗ってみたところ、トロリーバスの不思議な姿が見えてきました。

あるものを交換する“鉄道らしい儀式”

 その“鉄道らしい儀式”とは「タブレット交換」です。

 線路が1本しかなく行き違いができない鉄道路線では、“通行手形”を持っていないとその区間を走れない、という信号のシステムがあります。ひとつの列車だけに“通行手形”を渡すことで、行き違いのできない区間に複数の列車が進入し、正面衝突するのを避けるための仕組みです。

 この“通行手形”のことを「タブレット」といい、関電トンネルトロリーバスはこれを使用。信号場以外では行き違いのできないトンネルで、安全運行を実現しています。

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関電トンネルトロリーバスのタブレット。これを持っていないと、扇沢~信号場間を走れない(2015年9月、恵 知仁撮影)。

 具体的には、扇沢駅から黒部ダム駅へ発車するトロリーバス【A】は、「扇沢~信号場」間を通れるタブレットを持って発車。このタブレットを信号場で、反対の黒部ダム駅からやってきたトロリーバス【B】とすれ違うとき、【B】が持っている「信号場~黒部ダム」間を通れるタブレットと交換する、という形です。

 これもまた、見た目こそ「バス」ですが、まるで線路が1本しかない「単線」のローカル線のようなシステム。トロリーバスが法的に「鉄道」である理由がさらに少し分かった気がします。

 ただ鉄道とは異なる、トロリーバスらしい工夫もそこに見られました。

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コメント

1件のコメント

  1. 最後尾のバスをランプでチェックしていると書かれていますが、最後尾チェックもタブレットで行っています。

    駅を出発するときに、最後尾のバスの運転手がタブレットを持ちます。交換所では、先頭のバスは、対向の最後尾のバスの運転手からタブレットを貰うまで出発できません。ランプでの区別をしている化も知れませんが、二次的なものと思います。