「護衛艦輸出こんどは成功させるぞ!オー!」政府の気合が絶対必要なワケ 夢の1兆円プロジェクト 豪州向けの“負け戦”から学ぶ
オーストラリア海軍が進めるフリゲート後継艦の最終候補に、日本の提案が選ばれたことを受け、政府が受注獲得に向けた「官民合同推進委員会」を開催しました。過去の失敗を踏まえ、日本政府の意気込みを示す事象といえるかもしれません。
オーストラリア向け“輸出失敗”した過去
筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は、中谷防衛相が言う「オールジャパン」体制で受注を獲得する上で、必要なことだと思います。
官民合同推進委員会の数日前、12月上旬に筆者は、もがみ型や令和6年度護衛艦の建造にも関与する企業の幹部と面談したのですが、その時点では「自分の知る限り、オーストラリアへの令和6年度護衛艦の共同開発の話は来ていない」と語っており、正直な話、少し心配になってしまいました。
前にも述べたように、アンザック級フリゲートの後継艦を受注したいのであれば、関係企業と意思を統一し、協力を得ることが不可欠です。官民合同推進委員会には筆者が面談した企業の幹部も招聘されていましたので、ひと安心といったところでしょう。
また前出した読売新聞の記事は、「日本は、オーストラリアの新型潜水艦の共同開発を巡り、実現目前でフランスに受注を奪われた苦い経験がある」とも報じています。この苦い経験が、官民合同推進委員会の設置につながったと筆者は思います。
苦い経験とは、オーストラリア海軍が現在(2024年12月)も6隻運用するコリンズ級通常動力攻撃型潜水艦の後継艦をめぐる話のことです。同級は不具合も多く老朽化も進んでいたことから、2010年代前半、オーストラリア政府は後継となる通常動力攻撃型潜水艦の導入計画を進めていました。
この頃、日本とオーストラリアは防衛協力で急接近していました。またコリンズ級後継艦に戦闘システムの提供を予定していたアメリカの後押しもあって、そうりゅう型潜水艦をベースとする日本の提案が採用される可能性が高かったのですが、結局はフランスの提案が採用されたという経緯がありました。
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