旅客機「爆買い大国」は自国製造に乗り出すか? 勢いスゴい! それは「中国製旅客機の開発前夜」に似ている

近年では大手航空機メーカーの旅客機のパーツ開発を手掛け、著しい需要の伸びを背景に「旅客機の爆買い」をしているインド。同国は将来、「自国での旅客機開発」をする可能性はあるのでしょうか。

「ライバル国」中国の航空産業とはどう違う?

 ここでいったん、中国の航空産業へ目を向けます。現在同国では、150席クラスの国内開発のジェット旅客機「C919」のセールスにまい進しており、ついに海外へのプロモーションも開始したのは記憶に新しいところです。

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インドが開発した戦闘機「デジャス」(清水次郎撮影)。

 これには、現在世界の航空会社で採用されている旅客機が、欧米などに本拠を構えるわずか数社のメーカーから選ばざるを得ない状況で、中国が将来的に「覇権」を握ろうという意志すらも見え隠れしています。航空産業に限らず、インド太平洋地域の政治情勢を見ても明らかでしょう。

 これに対して、インドは中国をライバル視こそしていますが、政治分野においてはあからさまに世界の覇権を握ろうとするような野心的な動きは見せていません。それどころか逆に近年、日米との関係を積極的に強化し豪州も合わせたクアッド同盟の一員に数えられています。

 インドの航空機産業に話を戻すと、テジャスはインド空軍と2021年2月に83機の購入契約を結びましたが、開発の道のりは決して平たんではありませんでした。こうした戦闘機の独自開発には困難がともないます。

 同じように、旅客機の開発も安全性と快適性、そして厳しい経済性などを確保しなければならない難しさがありますし、実用化において「欧米の型式証明の取得」という最大の壁も立ちはだかります。これこそが、中国の旅客機が国外でほとんど運航できない理由であり、日本の三菱スペースジェットが開発中止に追い込まれた理由の1つでもあります。

 こうして見ると、たとえ経済的発展が著しくても、インドが旅客機開発の技術まで獲得済みと見るのは、まだ早計でしょう。そのため、仮にインドが旅客機開発へ意欲を見せたとしても、実行に移すのはまだ先の話になりそうです。

 ただし、今後インドがボーイングやエアバス、あるいはエンブラエル(ブラジル)へ旅客機の現地生産拡大を本格的に求める方針を表明した時は、将来の旅客機開発を踏まえた、一種の“布石”と見るべきかもしれません。

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