流行の「ビジネスジェットを“空飛ぶレーダーサイト”化」日本はなぜない? 過去には「検討もダメに…」のワケ
早期警戒機の世界でトレンドとなっていることのひとつが、ビジネスジェットにレーダーシステムを載せた早期警戒機の出現です。どういった理由で、また、航空自衛隊がこれに追随することはあるのでしょうか。
「ビジネスジェット早期警戒機」実際に検討されていた…?
2024年時点の航空自衛隊では、早期警戒機にE-2C・E-2Dを使っているというのは、先程述べた通りです。しかし、航空自衛隊でも近年、ビジネスジェット機を早期警戒機に活用できないか考えられたことがあるとのことです。
航空自衛隊で大型ビジネスジェット機の流用が浮かんだのは、E-2Cの補充と後継に向けた頃だったそうです。
筆者が聞いたところによると、関心が向けられたのは米国ガルフストリーム社のG550やG650だったとのこと。たしかに、こうしたビジネスジェットであれば、E-2シリーズより居住性に優れて搭乗員の疲労は少なそうです。
ここからは筆者の推測になりますが、G550やG650に目が向けられた理由は、航空自衛隊は既に同じガルフストリーム社のG-IVをU-4多用途支援機として採用していたうえ、G550はシンガポール空軍で実績があったためではないかと考えられます。
ただし、この実現には1つ、大きなハードルがありました。G550早期警戒管制機のレーダーシステムはイスラエル製だったのです。
今でこそ、日本はロシアによるウクライナ侵攻後の2022年8月にイスラエルと防衛協力に関する覚書を結んでいますが、E-2Cの後継問題が議論されていた当時は、紛争当事国であるイスラエルから、レーダーシステムという大掛かりな電子機器の導入ができるのか――ともなったそうで、最終的には、大方“本命機”と見られていたE-2Cの発展型、E-2Dの導入が決定されたと聞いています。
各国の空軍自体の規模にもよりますが、プロペラ機より高速で高々度を飛べ、旅客機ほど大型の機体を必要としなければ、ビジネスジェットの早期警戒機・早期警戒管制機化は将来、採用がますます増えると考えられます。そして、航空自衛隊が今のE-2Dの後継機を考える際も、今度こそ本格的にビジネスジェット機が候補に挙がるかもしれません。
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