北朝鮮、異例の航空ショー開催 最高指導者のある意向が関係か

2016年9月、北朝鮮が航空ショーを開催します。旧式機が多く“動く航空博物館”される同国が、何を目的に、外国人を含む一般人も観覧可能な航空ショーを実施するのでしょうか。背景には、ある人物の存在が浮かび上がってきます。

エアショーを開催する北朝鮮、その思惑

「元山国際親善航空フェスティバル」を開催する北朝鮮の思惑は、どこにあるのでしょうか。

 こうしたエアショーには通常、主に3つの目的があります。軍や政府が主催し、国民へのアピールなど広報や示威目的に行われる官製イベント(自衛隊の航空祭など)、新型機のお披露目や商談の場としてのビジネスショー(パリエアショーなど)、そしてエンターテインメントを目的としたイベント(レッドブルエアレースなど)です。

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元山国際親善航空フェスティバルにも参加が予定されているスホーイSu-25攻撃機。「ソ連のA-10」であり、対地攻撃能力が非常に高い。写真はロシア空軍機(関 賢太郎撮影)。

 今回の「元山国際親善航空フェスティバル」にビジネスショーとしての意図はないでしょうから、示威やエンターテインメントとしてのエアショーを目指しているものと推測されます。公式サイトには「航空を通じて平和と友情を育む」ことを目的とし、収益は北朝鮮江原道赤十字事務所を通じて孤児院に寄付されると記載されています。チャリティイベントとしてのエアショーは、世界最大規模のエアショーとして知られるイギリスの「ロイヤルインターナショナルエアタトゥ―(RIAT)」があり、これを手本にしているのでしょう。

 ただこれは“表向きの理由”で、元山国際親善航空フェスティバルの開催は、おそらく北朝鮮の最高指導者である朝鮮労働党委員長、金正恩氏の意向ではないかと筆者(関 賢太郎:航空軍事評論家)は推測します。

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