「車内でキャンプができるコンパクトカー」46年経っても大人気!? 四角いほうの「フィアット・パンダ」のスゴさとは デザイナー「私の最高傑作」
「ヨーロッパのゲタ車」として、いまだ根強い人気を誇るフィアット・パンダ。なかでも、2003年のモデルチェンジ以前に生産されていたモデルは、現在でも中古車市場で大きな人気を誇ります。
フィアットとジウジアーロが手を組んだプロジェクト「ゼロ」
「ヨーロッパのゲタ車」として、いまだ根強い人気を誇るフィアット・パンダ。特に2003(平成15)年の大幅モデルチェンジ以前のいわゆる「角ばったパンダ」は、今も中古車市場で絶大な人気を誇ります。
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この2003年以前のフィアット・パンダのうち、「最初期型」となるフィアット・パンダ45/30が登場したのは、今から46年前の1979(昭和54)年。一見すれば小さくて簡素なクルマですが、実際は優れた合理性とデザイン、そして何よりもそれまでの大衆車にはなかった独自発想を持つ1台でした。
1970年代のオイルショックなどの影響で、ヨーロッパの各自動車メーカーは燃費の良いコンパクトカーの開発を進めていました。そんな中、イタリアのフィアットでは1976(昭和51)年に、自社の小型モデル・126のエンジンを流用しながらも全く新しい1台を完成させるべく、プロダクトデザインの巨匠ジョルジェット・ジウジアーロ氏率いるイタルデザインに共同開発を依頼。そのプロジェクト名は「ゼロ」というものでした。
これを受けたジウジアーロ氏は126同様の生産コストを実現する小型車の設計とデザインに没頭。依頼を受けてから数か月で、ボディのデザイン、室内のスケールモデルのスケッチをフィアットに提出。プロジェクト開始からわずか1年強でプロトタイプ・ボディの完成にこぎつけました。
サイズは全長×全幅が3380×1460mm。フィアット126よりは若干大きいものの、フィアットがジウジアーロ氏に依頼した「条件」を全て満たしていました。また、ジウジアーロ氏は「3380mm という枠の中に、あれだけの空間と機能を盛り込むデザインは、本当にゾクゾクするチャレンジで最高に面白い仕事だった」「私にとっての最高傑作はフィアット・パンダだ」と豪語するほどでした。
そのデザインはオフロード・ビークルや軍用車を思わせるほど、極めて実用的な「引き算」的デザインであり、平面的でカクカクした意匠です。また、極めてシンプルな内装で、コストカットのために開閉式のダッシュボードをあえて廃し、凹んだスペースにクロスを貼り独特のオシャレなイメージを作り上げています。
さらに斬新だったのが、シートがパイプ式で簡単に取り外すことができ、「パイプシートをアウトドアシーンで広げて、キャンプチェアとしても併用できる」という提案。これは最初期型のフィアット・パンダ45/30のみの機能で、2代目以降、このパイプシートは廃されましたが、フィアット・パンダの独創性を強く印象付けました。
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