空母「サンパウロ」ブラジル軍の象徴が“ほとんど稼働せず漂流艦に” 大ハズレなのは実は予想されていた?

2023年2月3日、空母「サンパウロ」が自沈処分されました。鳴り物入りで就役したはずの艦でしたが、不幸な終わり方になってしまったのはなぜでしょうか。

ちゃんと動いたのはほんの数年だった…

「サンパウロ」は最初こそ様々な任務をこなしたものの、わずか3年後にはトラブルが頻発するようになります。まず2005年5月、火災が発生しました。原因は蒸気パイプラインの破損で、修理のため約4年間、艦隊を離れます。この後、同艦は事故の損傷修理と近代化改修のため、2010年まで断続的にオーバーホールを繰り返すこととなります。

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ドック入りする「サンパウロ」(画像:ブラジル海軍)。

 その後もトラブルは収まらず、エンジン、推進シャフト、カタパルトなど様々な箇所で問題が発生します。古い艦のためパーツの確保も困難になっていたそうで、酷使したパーツを交換できず、その影響で別の場所でも故障が発生するといった状態だったようです。

 そして2012年2月、「サンパウロ」は再び大規模な火災事故を起こします。この火災でまた、任務に就けなくなりますが、ブラジル海軍は4年間のアップグレードプログラムを進め、修理と並行して艦の寿命延長や近代化改修を行おうとします。

 当初は、このアップグレードにより「サンパウロ」を2039年まで使う予定でしたが、修理や改修で莫大なコストがかかることが判明。これにより2017年2月14日、海軍は近代化計画を打ち切り、運用終了を発表し、解体することとなりました。

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