空母「サンパウロ」ブラジル軍の象徴が“ほとんど稼働せず漂流艦に” 大ハズレなのは実は予想されていた?

2023年2月3日、空母「サンパウロ」が自沈処分されました。鳴り物入りで就役したはずの艦でしたが、不幸な終わり方になってしまったのはなぜでしょうか。

解体決定後もたらい回しされてしまう…

 しかし、同艦の受難は退役後も終わりません。

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サンパウロの艦載機だったAF-1「ファルカン」(画像:ブラジル海軍)。

 同艦は廃棄が決まり、2019年9月に解体業務を請け負うトルコの会社が買い取り、トルコのイズミルへ向かうことになりましたが、断熱材に健康被害をもたらすとされているアスベストが数トン使われていたため、同艦の曳航途中にトルコの野党や環境団体が、同艦の受け入れ拒否運動を展開。これを受け2022年8月、トルコ政府は、同艦が2回目の含有物検査を受けなかったことを理由に、「トルコ領海への進入は認められない」と受け入れを拒否する事態に展開してしまいます。

「サンパウロ」は仕方なくブラジルに引き返すも、ブラジル側も同艦の受け入れを拒否。2022年10月以来、同艦はペルナンブコ州の沖をさまよい、翌年の2023年2月3日に、浮力などが失われつつあるということを理由に、環境省や環境団体の反対を押し切り、海軍が水深5000mの海底に自沈処分しました。環境省や環境団体の訴えを退けたペルナンブコ州の裁判所は「艦に損傷が確認され、安全な航行ができない元空母を曳航しているタグボート乗組員の命を危険にさらすことはできない」と自沈の正当性を説明しています。

 ただ、同艦の艦載機であるAF-1「ファルカン」に関しては、1998年にようやく空軍との政治的闘争に打ち勝ち手に入れた固定翼機ということで、そう簡単には手放すわけにもいきませんでした。そのため2025年現在も、将来の空母最導入に期待し、半ば意地ともいえる状態で運用されており、ブラジルの航空機メーカーであるエンブラエルが定期的に整備や修理を担当しています。ほかに「サンパウロ」に艦載する予定で、ターボプロップエンジンの索敵機であるKC-2も開発中でしたが、これは「サンパウロ」の自沈から数日後に計画が破棄されました。

 ちなみに、同艦の姉妹艦だった「クレマンソー」も、1997年10月に退役したにもかかわらず、アスベストの問題でたらい回しにされ、2009年にようやく解体されています。さらに「サンパウロ」の名前を冠した先代艦の戦艦「サンパウロ」も解体に向かう際の曳航中に漂流し、消息を絶っており、2隻連続で不幸な境遇となってしまいました。

【飛ぶ直前まで作ったのに…】「サンパウロ」に艦載予定だったKC-2(写真)

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