埼玉の「恐ろしい道路陥没」はどこでも起こり得る? 「下水道管老朽化」という根深い問題 幹線道路ほどヤバいワケ

埼玉県八潮市の道路陥没事故は、交差点にあるマンホールの下で起きました。崩落するはずのない路面が突如、なくなってしまう。老朽化した下水道管の腐食などがきっかけで起きる災難であり、そこには全国共通の課題があります。

現場の交差点は“下水道の大交差点”でもある

 交差点を通過するとき、マンホールの存在に気づくことはないでしょうか。埼玉県八潮市の県道で道路陥没事故は、まさにこうしたマンホールの下で発生しました。

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道路陥没が発生した八潮市の中央一丁目交差点は大きな変則六差路。地下は下水道の交差点でもある(画像:Google earth)。

 こうした突然の陥没は、老朽化した下水道管の腐食などがきっかけで起きる可能性があります。幹線道路ほど設備更新が進まない“落とし穴”は全国共通です。

 道路の下には設備、おもにライフラインが埋まっています。その中でも、全国で必ず埋まっていると言ってもいいのが下水道管です。

 各家庭などから排出された汚水は、市区町村道の下にある下水道管から、都道府県道などの幹線道路下の流域下水道管に合流し、処理場などへ送られます。合流は交差点を経由します。例えば、十字路なら、その中心にある汚水マスに下水道管が直角につながります。下水道網は一般道と同じように地下に張り巡らされているのです。

 2025年1月28日、埼玉県道「松戸草加線」中央一丁目交差点(八潮市2丁目487先)で発生した道路陥没も、道路の下に張り巡らされた下水道網の上で起きました。この県道は片側4車線、24時間で上下線9600台の交通量がある地域の幹線道路です。そこに八潮市道が斜めに合流する変則6差路の交差点となっています。地下の下水道はここに集まり、処理場へと流されます。

 道路陥没は偶然、現場を通行した70代の男性が運転するトラックを飲み込みました。事故当時の穴は、直径9~10m、深さ5mと車両を簡単に飲み込む大きなものでした。

 現場となった埼玉県管理の幹線下水道は、交差点の上流側で直径3m、合流して水量が増える下流側では直径4.74mの巨大なコンクリート管でした。幹線道路には、こうした巨大な下水道管が埋まっています。

 下水道管は円筒ですが、交差点には立方体の接続マスが設置され、道路上にはマンホールがあります。下水道管を流れる汚水を直角に曲げても、マンホールの“穴”で減圧されるので、汚水の勢いで下水道管が壊れることはありません。記録的な豪雨でマンホールの鉄蓋が吹っ飛ぶのは、流水能力を超えて下水管に流れ込むため、流水を処理できずマンホールから吹き上がり、重い蓋を持ち上げているのです。

 現場には自動車ユーザーの想像を超える下水道関連施設が埋まっているのです。

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