埼玉の「恐ろしい道路陥没」はどこでも起こり得る? 「下水道管老朽化」という根深い問題 幹線道路ほどヤバいワケ
埼玉県八潮市の道路陥没事故は、交差点にあるマンホールの下で起きました。崩落するはずのない路面が突如、なくなってしまう。老朽化した下水道管の腐食などがきっかけで起きる災難であり、そこには全国共通の課題があります。
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救命中の1月29日午前1時頃には、現場近くで新たな陥没が発生しました。
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救命が最優先に行われているため、現場の陥没の原因は未だ不明です。「不健全な状態は確認できなかった」と、埼玉県は話しています。ただ、埼玉県が管理する下水道管だけでも440km。5年に一度の点検は2015年に義務化されましたが、マンパワー不足と老朽化が一斉に押し寄せているため下水道の現実は、老朽化が心配される道路とまったく変わりません。
何も知らずに落ちてしまったトラックはいうまでもなく、道路陥没の影響は広範囲に及んでいます。損傷した下水道管破損の影響を受ける八潮市など9市3町の約120万人に対して下水道の使用を控えるように行政の担当者からメールなどで呼びかけが行われています。入浴やトイレ掃除の回数削減、大規模入浴施設の営業自粛、送迎バスのルート変更などが行われていて、復旧が長引くことで学校での入試実施も心配されています。
下水道だけでなく、NTTインターネット回線の光ファイバー断線、NTT固定電話の通信回線の断線などが起きています。新たな陥没はガス管の損傷を伴う可能性があるため、周辺住民の避難も呼びかけられています。
埼玉県は下水の中川への緊急放流を計画しています。 1月29日午前に大野元裕知事も出席した対策会議では、知事自らが「可能な限り下水の使用を控えてほしい」と、呼びかけてました。
崩落の土砂は下水で流された状態ですが、現場はアスファルトが穴の内側に張り出した状態で、安全対策に必要な全容把握はされていません。ドローンや地中レーダーを投入し、救命と復旧対策を急ぎます。
Writer: 中島みなみ(記者)
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。
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