現代戦闘機、宿敵は「フリーズ」? 4時間に1回、シャットダウン

4時間に1回、シャットダウンが必要な戦闘機

 F-35Aに搭載されるソフトウェアは、レーダーや多数のセンサーを統制し、周囲の監視に至るまでを自ら行い、集積した情報を処理したうえでコックピット内の大きなタッチパネルや、ヘルメットのバイザーに映像として投影します。

 たとえば、現代の炊飯器は人間が熟練の業でいちいち火加減を調整しなくとも、ソフトウェアが全自動でふっくらご飯を炊きあげてくれるため、そのあいだに我々はおかずの準備などができますが、これと同様に、現代の戦闘機に搭乗するパイロットもソフトウェアによって、わずらわしい雑務を行う必要がなくなりました。そしてパイロットは“人間にしかできない判断”に専念することで、搭乗する戦闘機の戦闘能力をより高く引き出すことができます。

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F-35のフルミッションシミュレーター。既存の戦闘機とは一線を画すコックピットが特徴(写真出典:ロッキード・マーチン)。

 F-35は、既存の戦闘機よりもはるかに高度な、センサーなどの電子機器を搭載しています。そのぶんソフトウェアは極めて複雑で高度な処理をしており、「ブロック3i」のプログラムソースコードは800万行にも達しています。

 この「ブロック3i」は、2014年より「システム開発実証機(SDD)」と呼ばれるF-35の試作機に搭載され、飛行テストが行われていましたが、特に動作の安定性において大きな問題を抱えており、センサーシステムやレーダーを4時間に1回シャットダウンしなければなりませんでした。パソコンがフリーズしたならばその場で再起動すればすみますが、作戦中に戦闘機のミッションシステムがフリーズしてしまえば命にかかわるため、安定性の確保は極めて深刻な課題です。

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コメント

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2件のコメント

  1. OSの問題だけならシステムを二重化&クラスター化して交互に再起動すれば良いだけなんじゃないか?

    つまり、そんなレベルの問題じゃないって事なんだろうけど。

  2. OSではなく「ブロック3i(アプリケーション)」の問題と書いてある。
    シャットダウンが必要な理由は、この記事からはメモリリークの解消だとは読み取れない。