電車で都心へ行かずとも 東急がサテライトシェアオフィス事業 鉄道会社がなぜ?

多くの私鉄が共通して抱える「困難な未来」

 総務省は2015年の国勢調査で、日本全体の人口が調査を開始して以来初めて減少に転じたことを発表しましたが、東急電鉄も2012年に公表した経営計画において、沿線17市区の人口が2025年ごろから減少に転じると予想。そこで「沿線価値」を向上させていかに利用者を繋ぎ止めるかが現在、東急電鉄のみならず、多くの私鉄で共通する課題になっています。

 京王電鉄は保育園の開設、高齢者向け移動販売の開始などで「住んでもらえる、選んでもらえる沿線を目指す」としているほか、小田急電鉄も家事の代行などをする「小田急くらしサポート」といった事業を通じ「日本一暮らしやすい沿線」を目指すとしています。ライフスタイルに直結する事業への参入は、「沿線価値」を向上させるひとつの手法といえそうです。

 そうしたなか東急電鉄は「ライフスタイルやワークスタイルのイノベーションを推進し、『沿線に住み続けたい』『沿線で働きたい』と思っていただける新たな価値を提供」することを掲げ、同社が力を入れている二子玉川(東京都世田谷区)の開発については、「新しいワークスタイルを叶える次世代のビジネス都市」「日本一働きたい街」を目指すとしています。

 二子玉川は「住みたい街ランキング」などでしばしば登場する街ですが、近年では「ビジネス都市」の側面も見せ始め、2015年には楽天が本社を同地へ移転。「二子玉川駅の乗降客数が増加したほか、住む人も増えてきた」(東急電鉄)といい、「ワークスタイルイノベーション」の推進によって沿線人口が増加したケースが、すでにあるようです。

「鉄道会社」という立ち位置とは、一見すると相反するような東急電鉄のサテライトシェアオフィス事業参入と、それによる「ワークスタイルイノベーション」の推進は、同社の沿線価値を向上させ、沿線人口の増加に繋げるひとつの施策といえます。

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「NewWork」はたまプラーザ(横浜市青葉区)や、二子玉川(東京都世田谷区)にも出店予定(画像出典:東急電鉄)。

 ただ一方で、「ワークスタイルイノベーション」により東急線の利用が減ってしまうことも考えられます。これに対して同社は、「『NewWork』を利用するベンチャー企業が成長し、東急電鉄が提供する渋谷のオフィスに入居することも期待している」とのこと。「電車に乗らなくても」が、さまざまな事業へ波及効果、相乗効果をおよぼすかもしれません。

【了】

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コメント

1件のコメント

  1. 横浜駅に開業とのニュースで、当然に横浜駅西口エリアだと思ったら東口エリアでビックリ。
    東京急行は昔から電車も路線バスもホテルも・・・全て西口エリアで活動していたから。
    まあ今では路線バスは横浜駅乗り入れ廃止されてホテルも撤退。電車は地下へもぐったけど、まだ西口側なんだけど。今後はみなとみらいエリアの更なる開発発展で、表口である東口エリアへ着目してるのかな?