動き出す「ダム銀座ぶち抜きトンネル」 関東ー東北の“壮大バイパス”の一部 難所克服はとにかく難工事!?

国土交通省 宇都宮国道事務所は2025年2月13日、2回目となる国道121号「日光川治防災」の連絡調整会議を開催。関係者間で今後の進め方などを共有しました。

工事着手はまだまだかかる 栃木の「ダム銀座ぶち抜きトンネル」

 国土交通省 宇都宮国道事務所は2025年2月13日、2回目となる国道121号「日光川治防災」の連絡調整会議を開催。関係者間で今後の進め方などを共有しました。

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国道121号「日光川治防災」パンフレットより。右上が五十里ダム、左上が川治ダム。その間を貫く野岩鉄道に並行して新トンネルを建設する(画像:宇都宮国道事務所)。

 この区間は、東武線・野岩鉄道・会津鉄道に沿って栃木県と福島県会津地方を結ぶ国道121号「会津西街道」沿いに構想されている高規格道路「栃木西部・会津南道路」の一部となるものです。

 うち、「日光川治防災」は、日光市の川治温泉から五十里ダムにかけて約3.4kmにわたるトンネル主体のバイパスを防災対策として構築する事業です。

 バイパスは、道幅の狭い川治温泉街を抜け、五十里ダムに向かってつづら折りのカーブで高度を上げていく区間を、山側にトンネルを掘って一気にバイパスします。ただ、すでにある野岩鉄道の葛老山トンネル(4250m)や、県道の葛追トンネル、さらに川治ダムと五十里ダムを結ぶ導水トンネルとバイパスのトンネルが近接することから、施工難易度が非常に高いとされています。

 また、この区間は大部分が国有保安林、民有保安林に該当するうえ、全線が国立公園内を通ることから、森林法や自然公園法に関する手続きが必要となっています。そのなかで、現道から鬼怒川左岸に建設する鬼怒川橋梁のための工事用道路と取付道路については、国有保安林の区域外であることから、この早期着手に向けた手続きや調整を進めていくこととなりました。

 一方、新設トンネルについては、やはり葛老山トンネルやダムの導水トンネルと非常に近接した施工となることから、今後、有識者を交えた委員会を立ち上げて検討を進めるといいます。

 とはいえ、設計を進めて用地幅が確定したことを踏まえ、事業の概要・用地調査などに関する地元説明に着手し、用地幅杭の打設や用地調査なども進めていくといいます。実際の工事まではまだまだ時間がかかりますが、少しずつプロジェクトが動いています。

 会津西街道は関東と東北を結ぶルートでは最も西に位置し、太平洋と日本海の中間、すなわち本州の背骨を縦貫しています。栃木と会津はもちろん、新潟や山形方面の連絡にも使われ、東日本大震災で太平洋側のルートが寸断されたときも活用されました。

【夢の「栃木-会津直結」】栃木のダム銀座のトンネル事業とは?(地図/画像)

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