同じ自衛官なのに全然違う!「緑迷彩まとう船乗り」の本音とは「染みついた陸自のクセ早く直さなきゃ」
陸海空3自衛隊共同の部隊として2025年3月に新編予定の「自衛隊海上輸送群(仮称)」。新部隊を支えるための要員らの教育を広島県で取材してきました。新たに船乗りになろうとする陸上自衛官らの本音とは。
発足が目前に迫った新部隊の基幹要員たち
「両舷前進原速」「130度、ようそろ」――海上自衛隊の輸送艦「しもきた」艦橋でこうした号令をかけているのは、緑色主体の迷彩服を着た陸上自衛官たちです。陸海空3自衛隊共同の部隊として2025年3月に新編予定の「自衛隊海上輸送群(仮称)」。その発足が迫るなか、配備される輸送艦の運用を担う要員の教育が進められています。

急ピッチで進む彼ら「迷彩服を着た船乗り」の様子を、筆者(深水千翔:海事ライター)は2024年秋に取材してきました。
「陸上自衛隊とは用語や細々とした文化が違うため、そこに慣れるまで不安はあった」と話していたのは、「しもきた」で機関科幹部を務める宮原 啓2等陸尉(当時)です。乗艦当初は船酔いしていたものの、日数が経つにつれて慣れていったとのこと。「海上自衛隊の皆さんが暖かく受け入れてくれたのもあり、楽しく勤務している」と話していました。
2018(平成30)年に策定された「中期防衛力整備計画(中期防)」に基づき、島嶼部の輸送機能を強化するため新設が決まった自衛隊海上輸送群には、輸送艦である中型級船舶(LSV)ようこう型(基準排水量3500トン)2隻と小型級船舶(LCU)にほんばれ型(基準排水量約2400トン)4隻、そして輸送艇(機動舟艇)4隻が配備される計画です。
まず調達が決まったのはLSVとLCUの各1隻で、2022年度予算に盛り込まれるとり、いずれも内海造船瀬戸田工場(広島県尾道市)で建造を行うことになりました。LCUの1番艦「にほんばれ」は2024年10月29日に、LSVの1番艦「ようこう」は同年11月28日に進水しています。
航海員の和田拓也1等陸曹は「これまでは陸自の船が造られるという言葉だけで勤務してきたが、進水の映像を見て本当に陸自の船ができるんだという実感がわいた」と話します。
「だからこそ期待にこたえていくため、さらに勉強をして運航の安全に努め、基盤作りを行い、良い部隊にできるよう勤務していきたい」(和田1曹)
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