「逮捕する!」「あ!? ここウチのヤマやぞ!!」国民もどこを頼ればいいか混乱…イタリアの多すぎ警察組織とは
イタリアは実に5個もの警察組織があります。このように多数の組織があって国民は混乱しないのでしょうか。実は結構混乱しているようです。
管轄が全く違うならまだマシ! 任務が被って混乱することも!?
しかし、ここまで細かく組織が分かれていると、当然、困った問題も起こります。そのひとつが「管轄」の問題です。

それぞれ別の“お役所”が運営していますので当然、連絡先も違います。国家警察が113番、カラビニエリは112番、財務警察が117番といった状況です。イタリア人ですら事件にあった場合どこに連絡していいか分からなくなることがあるそうです。
幸い、完全な「縦割り」という状況は改善されているようで、2025年現在は、もし間違えて違う管轄に電話をかけてしまったとしても、それぞれの管制センターが適切な部署に転送してはくれるそうですが、それでも初動対応の点では遅れてしまうことなどはありえます。そのため、一部の 地域では統一した管制センターが試験的に導入されてはいるようですが、まだまだ本格運用には時間がかかりそうです。
なお、市民からの連絡に関してならばその程度の混乱で済みますが、実際の警察官の職務(任務)になると、かなりややこしい事態になります。
前述した通り管轄している省庁が違っており、それぞれに治安維持機能が与えられほぼバラバラに活動しており、組織間の連携もとれていません。
特に国家警察とカラビニエリは職務(任務)が被ることが多く、意識せずに互いの捜査を妨害し合うことも。例えば潜入捜査をしている国家警察を、事情の知らないカラビニエリが拘束や銃撃してしまうといった事態もありえるようです。
色々問題があるため、組織再編もずっと叫ばれてはいますが、元々、イタリアは半島の小国家を集合してできた国であるため、さまざまな歴史や文化を背負って生まれた警察組織も多く、異なる監督省庁の意地とプライドのぶつかり合いなどもあって、なかなかひとつの組織にまとめるのは難しいそうです。どうやら「縦割り社会」や「各お役所のメンツ」といったものは、なにも日本に限った話ではないようです。
Writer: 凪破真名(歴史ライター・編集)
なぎはまな。歴史は古代から近現代まで広く深く。2019年現在はフリー編集者として、某雑誌の軍事部門で編集・ライティングの日々。趣味は自衛隊の基地・駐屯地めぐりとアナログゲーム。
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