米空軍に4機だけ! 激レア機「空飛ぶWi-Fi」の役割とは? どう見ても民間機じゃん!
航空自衛隊のF-35A戦闘やE-2D早期警戒機、KC-46空中給油・輸送機などが初参加した多国間演習「コープノース25」に、米空軍の激レア機が参加していました。一見すると民間機のようですが、かなり重要な役割が付与されている模様です。
軍用機のジェネレーション格差を埋めるために
BACNは単なる通信中継器ではありません。互換性のない異なる通信システム間でも、画像、音声、戦術データを変換してやり取りすることが可能な交換システムです。

たとえば戦闘機に限っても、機体同士で情報共有する「データリンク」と呼ばれる機能を搭載していますが、それが機種ごとに異なります。例えばF-16やF/A-18といった第4世代戦闘機はLink 16を、対して最新のF-35はMADL(発展型多機能データリンク)を搭載しており、これらは直接接続して相互に情報をやり取りすることはできません。パソコンやスマートフォンでいうなら、OSが異なるためにデータやアプリの連携がうまくいかないのと似ています。
BACNは戦闘機だけでなく、地上や海上の異なる兵器間の通信も中継できます。実際、この機器が初めて活躍したのは2005年のアフガニスタンで、NASAの高高度試験機WB-57に搭載されました。通信インフラが乏しく、陸海空のさまざまな部隊が展開しており、BACNのような通信を中継・変換してくれるプラットフォームは打ってつけだったようです。2025年現在はE-11Aの他に、高高度無人機EQ-4Bグローバルホークにも搭載可能で、その他の航空機への搭載も検討されているといいます。
今回の「コープノース25」では日米豪のF-35(A型とB型が参加)の他に、アメリカ空軍のF-16「ファイティングファルコン」とアメリカ海兵隊のF/A-18「ホーネット」も参加していました。これら第4世代戦闘機が新しい第5世代戦闘機のF-35と連携して訓練を行う場合、E-11AのBACNが相互を連携させるために重要な役割を担ったと考えられます。筆者は訓練期間中に基地敷地外から航空機の離発着を見ていましたが、E-11Aは必ず飛行していました。
現在、日本と欧米を中心に新しいF-35の配備が進んでいます。しかし、多くの国ではこれまで運用してきた第4世代戦闘機も平行して運用し続けています。また、現代の戦場は陸海空の異なる領域を横断するマルチドメイン(他領域)作戦が基本となり、異なるプラットフォームが連携して戦うのが当たり前になりつつあります。
今後の戦場の様相を考えると、E-11Aのような存在はますます重要なものになっていくのではないでしょうか。
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info
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