「激安北米行き運賃」展開のJAL系LCC、なぜ新型機を”6m長い姉妹機”に? 「席数UP」…いえ、ちょっと違います!
JAL(日本航空)グループの中長距離国際線LCCのZIPAIRが、新型機「ボーイング787-9」を導入します。787-9は、現在同社が運航している「787-8」の胴体延長タイプ。なぜこの機の導入を決定したのでしょうか。
6m長いけど…。
JAL(日本航空)グループが展開する中長距離国際線LCC(格安航空会社)のZIPAIRが、新型機「ボーイング787-9」を導入します。787-9は、現在同社が運航している「787-8」の胴体延長タイプにあたります。2機は姉妹機であるものの、なぜ同社は違うモデルの導入を決定したのでしょうか。

同社は現在8機のボーイング787-8を保有しており、成田空港を拠点に10路線を展開しています。
主力路線はアメリカ本土線で、ロサンゼルス、サンノゼ、サンフランシスコ線の西海岸路線に加え、カナダ・バンクーバー線、さらに2025年から3月より初のアメリカ本土南部路線となるヒューストン線も開設。これまでフルサービスキャリアしかなかった路線に格安運賃をひっさげ、旅行者に新たな選択肢を提供してきました。
さらに同社の西田真吾社長は過去に「現時点でここにしますと申し上げられる路線はありませんが、いつかは東海岸最大の大都市であるニューヨークに!という野望は持っています」とコメントするなど、将来的に同社はヒューストンより先の都市へ就航する可能性が高いと見られます。
そのようななか同社が導入する787-9ですが、787-8と比べ、胴体が約6m長いモデルです。ZIPAIRが導入する787-9は、JALで現在運用されているものを改修し、2027年度以降に導入します。最終的に787-9は10機規模の体制になる予定です。
当然、787-9は787-8より多くの座席数を配することができますが、どうやら「より大型の姉妹機」を導入する狙いはそこではないようです。
JALグループが公開した「中期経営計画ローリングプラン2025」によると、787-9の導入とともに「フルフラットシートの増席」が戦略として紹介されています。
ZIPAIRは2クラスの座席を持ち、とくに人気があるのが上位クラスの「ZIPフルフラット」です。フルサービスキャリアのように食事サービス、ならびに個人モニターなどはありませんが、座席仕様だけ見ると「フルサービスのビジネスクラスなみ」の設備を持ちながら、フルサービスのビジネスクラスよりはるかに手頃な価格で乗れるというのがウリです。ちなみに、現状ではその快適性が広く知られたぶん、現状の北米線では運賃が高止まりしている状況です。
同社が787-9を導入するのは、この「コスパ最強の快適席」の席数を増やすことで、同社の経営状況をより安定させようという狙いがあると見られます。また乗客にとっても「ZIPフルフラット」の価格が下がり、より手頃にこのシートを体験できる可能性が増えるというメリットが考えられるでしょう。
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