艦内のドアにヘンなマーク「それ、破壊工作対策です」 横須賀に寄港したイタリアのNEW軍艦、内部みてきた!
海上自衛隊の横須賀基地に初寄港したのは、イタリア海軍のフリゲート「アントニオ・マルチェリア」です。集まった報道陣に公開された同艦の艦内には、日本の護衛艦では見慣れないものをたくさん見つけることができました。
艦内で見かけた「白」の意味とは?
そこからさらに通路を進むと、広々とした艦橋に出ました。海上自衛隊の一般的な護衛艦と比べると、コンソールがデジタル化されていたり、乗員用のイスが置かれていたりと、細かな相違点が目につきます。護衛艦でいうと、雰囲気はもがみ型に近い印象です。また、艦橋横の見張り台(ウイング)床には、スノコ状の木組みが置かれており、波をかぶっても足元に水がたまらない構造となっています。

また、最近では女性乗員も増えてきており、今回の展開でも乗員約200人のうち40人程度が女性。そのため、艦内には女性専用区画なども設けられているそうです。さらに、同艦ではSNSを使った情報発信も積極的に行っており、士官が運用する広報用の公式Instagramアカウントを、イタリア海軍の艦艇として初めて開設したといいます。
このように、艦内取材を通じてさまざまな文化的違いを実感したのですが、筆者が最も驚いたのは艦内における“破壊工作対策”の徹底ぶりです。
通路を歩いていると、通信室のドアに「ビアンコ(イタリア語で『白』)」と書かれた小さな丸いパネルを発見しました。これは何かと尋ねてみると、乗員はパネルに手を伸ばして、くるっと回転させました。すると、隠れて見えていなかった部分には何やら爆発物のイラストが。
「これは、艦内を定期的に見回る際に使用するものです。部屋を一つ一つ捜索して、とくに異変がなければ『ビアンコ』のままにしておきます。一方で、もし何らかの不審物を発見した際には、これを回転させて異常があることを知らせるのです」
たしかに、これならば艦内の安全を視覚的に確認することができるなと、乗員の説明を聞いて納得する一方で、このような徹底した安全管理ぶりに驚きました。
このあと、「アントニオ・マルチェリア」は4月8日に横須賀基地を出港して大阪港に向かい、そこで大阪・関西万博のPR活動として艦内の一般公開も予定されているとのことです。
Writer: 稲葉義泰(軍事ライター)
軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。
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