ナゾの人「指差しビシッ!!」→空母から戦闘機発艦! ナゾの人は誰? 意外な”指差しの意味”とは
映画『トップガン』などで、戦闘機が発艦する際、カラフルな服を着た甲板のクルーが、なにやら格好いいポーズをとっているシーンが映ります。一体なにをしているのでしょうか。
「ビシッ!=発艦せよ」じゃない
空母の甲板で作業する担当者は「フライトデッキ・クルー」と呼ばれ、原則として紫、青、緑、黄、赤、茶、白の7色で区分けされます。紫は燃料関係、青は牽引車やエレベーターの操作、航空機の固定などといった形です。そのなかで黄色のシャツを着たクルーがこの発艦作業を担当するカタパルト・オフィサーです。

身をかがめて、ビシッと前に手を伸ばしたあのポーズをとるときは、航空機のパイロットに向けて、発艦の許可を指示していると思われがちですが違います。あのジェスチャーはカタパルト・オフィサーの横にいるデッキ・エッジ・オペレーターに向けて、「カタパルト射出ボタンを押せ」と指示しているのだそうです。
その指示を受けたデッキ・エッジ・オペレーターは、自分でも前方を確認してから射出ボタンをプッシュ。それを合図に艦載機は発艦します。これは艦載機がステルス機のF-35Cになったアメリカ空母でも変わらない手順のようです。
ただ、甲板上に埋め込まれた管制ステーションがある場合、カタパルト・オフィサーはその中で監督する場合もあり、その際は自身がカタパルト射出ボタンを押すことになるため、あのポーズを見ることはできないのだそうです。
なお、カタパルト・オフィサーという仕事は、空母乗員の航空科に所属するクルー、中でも士官しかなることはできません。
空母の航空科クルーは、飛行甲板と格納庫を中心に、空母に搭載される空母航空団の直接支援を行うのが任務です。
その任務は多岐にわたり、例えば離着艦におけるカタパルトや、アレスティングフックの運用、燃料補給、武器の装着、整備、事故への対応、消火活動なども担当しています。前述のようにアメリカ海軍では明確にシャツなどのユニフォームで色分けされており、そのような色分けの方法から、彼らは「レインボーギャング」と呼ばれることもあります。
Writer: 凪破真名(歴史ライター・編集)
なぎはまな。歴史は古代から近現代まで広く深く。2019年現在はフリー編集者として、某雑誌の軍事部門で編集・ライティングの日々。趣味は自衛隊の基地・駐屯地めぐりとアナログゲーム。
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