史上最大の飛行機、再生産か ウクライナが検討開始 そこにある思惑

“史上最大の飛行機”であるアントノフ社のAn-225はこれまで1機しか造られず、まさに唯一無二の存在でした。しかしその初飛行から約30年経ったいま、再生産が検討されています。

名が体を現す「ムリヤ」? その再生産指示が意味すること

 An-225でしか空輸できない大型貨物というものは、間違いなく存在します。しかしながらその需要は、An-225の供給を満たせるほど大きな市場ではありません。実のところ、例にあげた新幹線N700系程度ならば、原型機であるひとまわり小さいAn-124「ルスラン」でも十分に運ぶことができるのです。

 未完成のAn-225を就役させるには、300億円から500億円程度の費用が必要であると推定されます。この初期投資を回収し採算ベースに乗せる計画は、果てしなく厳しいものとなるでしょう。ましてウクライナは、隣国ロシアとの紛争を抱え内戦状態にあります。経済は疲弊し危機的な状況に陥っているなかにあって、再生産のための資金を調達することすら難しいはずです。

Large 20160618 01
貨物室は長さ43.35m、幅6.4m、高さ4.4mにも及ぶ。積み下ろし時には前脚を折り曲げ、機首を下げる(写真出典:hafizwira/123RF)。

 An-225の愛称「ムリヤ」は、ウクライナ語で「夢」を意味します。ひょっとしたらポロシェンコ大統領は、欝積した感情を募らせるウクライナ国民に対して、「世界最大の国産飛行機」という「夢」と「プライド」を与えたかったのかもしれません。

 はたして「ムリヤ」の再生産は単なるポピュリズムの道具として夢と消えるのか、はたまた現実のものになるのか、その動向に注目です。

【了】

Writer:

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス