なぜ?「トランプ関税」実は中国の航空市場に有利に働く可能性も 現状は「新しい飛行機引き取らない」混乱に

トランプ米政権による貿易相手国への高関税で、中国がボーイング製の旅客機の受領を延期するなどの報復措置を講じ始めました。ただ、今回の“騒動”は将来の中国に有利に働く可能性があるかもしれません。

なぜトランプ関税が「中国製旅客機の発展」につながる可能性が?

 ただし、トランプ関税が、中国が今以上に自国での航空機の開発と製造へ力を入れるきっかけとなった場合、将来民間航空業界における米中の立場を逆転させることにつながるかもしれません。

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シンガポール航空ショーでのC919(相良静造撮影)。

 中国国内でジェット旅客機開発が進まず欧州のエアバスも成長していない頃なら、「航空大国」米国の立場は揺るがなかったでしょう。しかし、中国は2024年にC919やC909を積極的に海外へ売り出し始めています。ボーイング777やエアバスA350といった大型機のライバルC929の設計に力を注ぎ、かつての大型機ボーイング747に並ぶC939の開発も視野に入れたと伝えられています。

 中国の旅客機開発力は現時点では、中国製のエンジンを搭載したC919は開発が進められているものの、商業運航は先のうえ、装備品の多くも国産化率は高くないとされています。しかし、ここで諦めずに力を入れて米国製に代わる自国産の部品を開発し、実機への搭載比率を増やせば、中国自身の工業力は上がります。そして、航空という交通インフラへ米国の影響を減らすことができるのです。

 多くのパーツの国産化ができれば、それは海外セールスの活性化にもつながり、これにつれて中国製旅客機の購入を決める国が増えるとも想像できます。もしそれで中国製旅客機が米国以外でのシェアを大きく伸ばしたとすると、現在は世界各国の運航へ実質欠かせない「FAA(米連邦航空局)」の型式証明(TC)を形骸化させることもできるかもしれません。アメリカがTCを認めなくても、関税に悩むほかの国が手を組んで、中国製旅客機における各国のTC取得にむけ動く可能性もあるからです。

 対し、ボーイングは現在、新型旅客機の開発を打ち出していません。これも合わせれば、中国が今回のトランプ関税を逆手に取れば、旅客機の開発へ一層力を入れる起爆剤にさせることができるかもしれないのです。

【写真】マジ!? これが「中国製旅客機」驚愕の機内です

Writer:

さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。

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