えっ!? そんなところに「万博の展示物」が? 消防車でおなじみ「モリタ」が手掛けた最新装置とは

大阪・関西万博、実は会場には大々的に公開されていない出展物というものがあり、モリタホールディングスが提供しているAIを用いた現場指揮支援システムもそれにあたります。

会場内の大阪関西万博消防センターに配備

 2025年4月12日より開幕している大阪・関西万博では、実は会場には大々的に公開されていない出展物があり、大阪の消防車両メーカーであるモリタホールディングスが提供している消防車両もそれにあたります。

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現場指揮支援システムが搭載された車両(斎藤雅道撮影)

 モリタの車両は、大阪関西万博消防センターという、会場内の消防車施設に置かれています。

 提供車両はEV消防ポンプ自動車と、ブーム付多目的消防EVポンプ自動車MVF21、AI(人工知能)を用いた現場指揮支援システムなどになります。

 EVポンプ車とブーム付多目的消防EVポンプ車に関しては、ほかの消防車両と同じく火災時などに出動することになりますが、現場指揮支援システムに関しては用途が若干違います。

 将来的な、災害派遣の対応などに備え、AIを用いた緊急対応などの検証を行う役割があります。モリタと大阪市消防局は連携することで、会期中に多くの人々が訪れる大阪・関西万博の会場をひとつの都市と見立て、未来の防災にはどのようなことが必要なのかのデータを収集します。

 現場指揮支援システムは、小型EVバスのような指揮車両と、移動式の大型ディスプレイで構成されています。このシステムと現地の消防隊員が装備したウェアラブルカメラの映像とデータリンクすることで、要救助者の情報を表示したり、隊員の疲労度なども映像で視覚化するとのことです。

 今回は実証実験のため、補助的な活動に留まりますが、将来的には同システムを用い災害現場のリアルタイム情報を集約し、高度な情報処理を通して、各デバイスに必要情報を出力し消防指揮活動を支援するシステムを目指します。

 その情報の大部分を表示することになるのが、移動式の大型ディスプレイです。

大型ディスプレイに情報を集約させる利点を、同システムの開発元であるモリタのモリタATIセンターの濵田貴行さんは「これまでは現場に折り畳みの机やイスを設置し、紙やホワイトボードで情報を確認していましたが、雨風のある日や夜間には不向きでした。そこでテーブルとしても使えるタッチパネル式のディスプレイにしました」と話します。

 また、このタッチパネル式のディスプレイには、内蔵されたカメラによる追跡機能もあり、スイッチを押すと消防隊員を負うように自走する機能も備えられています。

 搭載されているAIは、現場と指揮所やりとりを自動で文字起こししてくれるなどのほか、例えば複数人要救助者がいた場合の適切なルート選定など、各所から得た情報による行動の提案や、データに基づいた問題の解答なども行います。

 また建物の3Dデータが入手できている場合は、要救助者の居場所や火災発生場所を入力し、安全な救出ルートや消火ルートをAIが算出することも可能とのことです。

「今はデータ上で建物も設計する時代です。消防側が建物の3Dデータを入手し、あらかじめシステムに入力しておく体制を整えられれば、将来的に迅速な消火活動や人命救助につなげることができます」と濵田さんは将来的な活用方法について説明します。

 なお、今後、現場指揮支援システムがどのように使われるかは、今回の万博会場での運用で得たデータを元に検討するとのことでした。

【い、移動する基地だ!】これが、現場指揮支援システムの内部です(写真)

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ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。

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