「伝説の難工事」に…? 首都高「日本橋区間の地下化」現場を公開 聞けば聞くほど“条件キビしすぎる!”
首都高「日本橋区間」の地下化工事が本格的に始まります。10年間の長期通行止めとなった八重洲線をベースに新たな地下ルートを構築しますが、かなりシビアな条件です。
川は使っちゃダメです!?
今回公開された現場「常盤橋地区トンネル工事」は、八重洲トンネルに日本橋区間の新トンネルが地下で合流する箇所。一連の改築・新設工事のなかで「最も複雑な工事が行われる場所」だそうです。

日隈さんは「3つの“止めない”を掲げて工事を行います」と話します。すなわち、「交通を止めない」=八重洲線以外の首都高や周辺の鉄道などを通行止めしない、地域の「歴史を止めない」=常盤橋などの重要な史跡を守る、「川を止めない」=日本橋川をせき止めない、の3つです。
特に3つ目は、地下に八重洲線が通る日本橋川の「水面の高さを一切変えてはならない」との条件。このため、日本橋川を浚渫し、そこに鋼製の床を埋め込む「鉄樋工法」によって河床と地下を遮断、八重洲トンネルの壁から地下を掘り広げていくというアプローチをとります。
また、常盤橋などの重要な文化財は、橋脚の基礎を一時的に別の場所へ受け換える「アンダーピニング工法」によって保護したうえで、同じく既存の八重洲トンネルから地下空間を構築していきます。
さらに、日本橋区間の新トンネルは「シールド工法」で掘り進めますが、複数の地下鉄トンネルの間を縫っていくような線形に。特に都営浅草線トンネルとの離隔は、わずか1mしかない場所もあるといいます。
「シールドマシンの精度管理が非常に重要」と日隈さん。同様の工事はすでにC2中央環状線の「山手トンネル」などで実績があるものの、それでも厳しいものになるとのこと。
周辺の地上では再開発が進みますが、首都高の工事を地上で行うのは、川の浚渫やシールドマシンの立坑工事くらいだそう。ほとんどの工事を「非開削」で行うことで、河川や史跡を護りながら進めていくといいます。
日本橋区間および新京橋連結路を含めた地下ルートの開業は2035年度を予定。むこう10年間、首都高を建設した時よりはるかに複雑な工事が、この地域の地下で繰り広げられる見込みです。その後に日本橋川を覆う高架線を撤去し、2040年度、日本橋に“空”が戻ります。
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