「日本最速のフェリー」に代わる新造船「けやき」ついに進水! ちょっと小さくて遅い けど“中身がスゴイ!!” 新日本海フェリー

新日本海フェリーが日本海の最長航路に投入する新造船「けやき」が進水。従来船ほど速くはなく、船体も少し小ぶりになりました。実はそこに今のフェリーの“トレンド”が現れているようです。

新日本海フェリー新造船「けやき」進水

 SHKライングループの新日本海フェリーが舞鶴―小樽航路に投入する新造フェリー「けやき」が2025年4月29日、三菱重工業下関造船所で進水しました。同船は省エネ船型を採用した最新鋭の大型フェリーで2025年12月の就航を予定。今後建造される第2船目と共に、“日本最速”のフェリーである「はまなす」と「あかしあ」を置き換えます。

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新日本海フェリー新造船は「けやき」と命名(深水千翔撮影)

 新日本海フェリー経営企画部の中山晃一部長は「舞鶴―小樽航路では21年ぶり、新日本海フェリーとしては『らべんだあ/あざれあ』以来、8年ぶりの新造船となる」と話します。

「けやき」は新日本海フェリーと鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)の共有建造船として、三菱重工グループの三菱造船が受注しました。命名・進水式は新日本海フェリーの入谷泰生社長や三菱造船の上田伸社長をはじめとした関係者や一般公募見学者など約1600人が見守る中、盛大に執り行われました。

 今回、三菱下関で進水した新造船の「けやき」は1万4300総トンで、寸法は全長199m、幅25.5m、航海速力28.3ノット(約52.4km/h)、車両積載台数はトラック約150台、乗用車約30台となっています。

置き換え予定の「はまなす/あかしあ」は1万6897総トン、全長224.8m、航海速力30.5ノット(56.5km/h)と長距離フェリーでは国内最大級の大きさと速度を誇っていますが、新造船では船体規模をダウンサイジングし、速度を抑えることでより経済的な運航を可能にします。

「旅客定員は『はまなす/あかしあ』は746人だったのが、『けやき』では286人と大体4割ぐらいとなっている。この21年間の間にさまざまな船が竣工したが、例えば『らべんだあ/あざれあ』は2017年の竣工で600人、グループ会社の東京九州フェリーが運航する『はまゆう/それいゆ』は2021年の竣工で268人と、時代のニーズに沿って徐々に小さくなってきた」

 中山部長はこのようにダウンサイジングの理由を説明します。特に近年は、新造船価の上昇に加えて、燃料価格も大幅に上がっており、効率性の高い船舶が求められています。

 ネックとなっている初期投資に関してはJRTTの共有建造制度を活用しました。さらに国土交通省と経済産業省による船舶の省エネルギー効果の実証を行う補助事業(AI・IoT等を活用した更なる輸送効率化推進事業費補助金)にも採択されています。

【写真】これが新造船「けやき」です!!(進水の様子)

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