自衛隊以下かよ! 米軍の「空飛ぶレーダーサイト」数が過去最低に いつになったら新型とどく?
世界最強の空軍と揶揄されるアメリカ空軍ですが、それを支えるのに不可欠な空中警戒管制能力が過去最低の水準になろうとしています。理由はE-3AWACSの老朽化だとか。更新計画はどうなっているのでしょうか
航空自衛隊の早期警戒能力スゲーな!
高リフレッシュレートでの空域監視能力、卓越した情報処理能力、通信ネットワークの柔軟性などを備えたE-7「ウェッジテイル」は、すでにオーストラリアや韓国、トルコで本格運用されており、イギリスが発注済みなほか、NATO(北大西洋条約機構)の共同運用機としても採用が決まっています。

なお、同機はボーイング737というベストセラー旅客機を基にしていることから、整備性と運用コストの両面において、優位性を発揮していると断言できます。
しかしながら、E-7のアメリカ空軍への導入は2027年から本格化する予定であり、空白期間は今後数年にわたって続く見通しです。最大26機の導入が予定されていますが、全機の配備完了には約10年を要するともされ、その間、既存のE-3を酷使せざるを得ないという、きわめて過酷な時期が待ち受けているのです。
一方、我が国に目を転じてみると、航空自衛隊の陣容は時比べ物にならないほど充実していると言えるでしょう。航空自衛隊はE-767を4機、E-2C/Dを14機保有し、合計で18機のAWACS・AEW機を運用しています。国土の規模も任務範囲もアメリカ空軍と比べれば桁違いに小さい航空自衛隊が、AWACSの保有数においては上回っているのです。そのことを鑑みると、アメリカがいかにその分野において逼迫しているか、わかるでしょう。
中長期的には、E-7の導入によってこの問題は一定の解消が期待されます。しかし、アメリカ空軍はE-3からE-7への「移行期」という名の空白を、いかにして乗り越えるのか。既存機の稼働率アップに向けた整備体制の刷新、E-2を擁する海軍との統合作戦、さらにはNATOや同盟国との共同運用による部分的な機能補完などの代替策が、いずれも喫緊の課題となっています。
空の覇権は、戦闘機や爆撃機の保有数だけでは決まりません。空全体の情報をいかに掌握し、いかに活用し得るかという点が重要です。E-3という時代の遺産から、E-7という新時代の中枢へ、アメリカ空軍の将来を左右するこの転換期を目前にしたとき、改めて「空の眼」がいかに価値あるものであったのかを、アメリカ自身が痛感することになるのかもしれません。
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。
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