自衛隊以下かよ! 米軍の「空飛ぶレーダーサイト」数が過去最低に いつになったら新型とどく?
世界最強の空軍と揶揄されるアメリカ空軍ですが、それを支えるのに不可欠な空中警戒管制能力が過去最低の水準になろうとしています。理由はE-3AWACSの老朽化だとか。更新計画はどうなっているのでしょうか
すでに半世紀飛び続ける「空飛ぶレーダーサイト」
今や戦争に不可欠な装備/兵器といえるレーダー。とりわけ空が主戦場の空軍にとっては、飛行場の航空管制から、領空警戒、さらには航空機搭載の機上用に至るまで、レーダーがないと、夜の海を灯火もなく航行するに等しいと言えるほどです。

情報の優位が勝敗を分かつ21世紀の空中戦において、空中監視・指揮機能の不在は致命的な「戦術的盲目」を意味します。そうしたなか、敵を探知し、味方を統制し、空域全体を掌握する、これら複雑かつ高度な機能を一手に担う存在が、空中警戒管制機(AWACS)です。その最も高性能な機種としてアメリカ空軍が長年運用してきたのが、E-3「セントリー」です。
E-3は冷戦の最中である1970年代に登場し、以後、湾岸戦争、ユーゴスラビア空爆、アフガニスタン、リビア、イエメンといったアメリカ軍の主要軍事作戦において、常に空中指揮の中枢を担ってきました。旅客機であるボーイング707を母体に設計された本機は、機体上部に搭載した回転式のレーダードームが特徴ですが、これにより360度全方位の空域監視が可能です。最大滞空時間は約10時間に達し、空中給油によってさらに延長できます。その機能は索敵に留まらず、味方航空機への戦術指揮、リンク16をはじめとするデータリンクによる情報共有、さらには陸海軍との共同作戦を支える情報融合の中核として、まさに「空の中枢神経系」と言って過言ではないでしょう。
しかし、こうしたE-3の輝かしい実績も、いまや急速な老朽化の前に陰りを見せています。2025年現在、アメリカ空軍が保有するE-3はわずか16機。かつて30機以上を擁していた冷戦期から比して、その戦力は著しく縮小しています。
この機数減少は、アメリカ軍全体の指揮統制機能に本質的な空白が生じる危険をはらんでいますが、こうなってしまった理由は、すでに製造から半世紀近くを経ており、構造的疲労や部品供給の困難、メンテナンスの負担増など、もはや物理的な限界に直面しているからです。
この現実を受け、アメリカ空軍は次世代AWACSとしてE-7「ウェッジテイル」の導入を決定しました。E-7は実績ある商用機ボーイング737-700を母体とし、固定式の高性能フェーズドアレイ・レーダー「MESA」を装備します。
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