海自「最新ステルス艦」に世界のマスコミ注目か? 日本から持参の“伝統文化”に外国軍人も興味津々

シンガポールで開催される国際的な安全保障展示会に海上自衛隊の護衛艦「やはぎ」が参加しました。就役1年未満の同艦に外国メディアも興味津々。また、艦上には、外国人が興味を持つ仕掛けも用意してありました。

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 艦内見学では、保全措置のために通路や格納庫を含めた艦内での撮影が厳禁(これは他国の軍艦でも同様)で、撮ることができたのは艦橋前の主砲甲板と後部の飛行甲板のみでした。しかも、「やはぎ」はステルス性を考慮したデザインのため、艦の外に目立った装備がありません。

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衛艦「やはぎ」で艦内公開に対応した乗員たち(布留川 司撮影)。

 カメラマン視点でいえば、撮るべき被写体がほとんどなかったものの、それでも各国のメディア関係者がこぞって撮影したものがありました。それが艦内公開に合わせて飾られた「鯉のぼり」です。

「やはぎ」では、乗艦するタラップ脇、飛行甲板に駐機したSH-60K「シーホーク」ヘリコプターの横、格納庫の天井、こういったところに鯉のぼりを掲げて日本らしさをアピールしていました。

 どこで用意したのか乗員に聞いてみると、タラップ脇とヘリコプター脇の小さなものは九州の100円ショップで購入し、格納庫内の本格的なものは乗員の私物をわざわざ持ってきたといいます。

 なぜ、鯉のぼりを選んだのか、その理由については「(IMDEXが)開催されるのが5月だったので、その時期の日本だと鯉のぼりだなと思いました。3月だったらお雛様だったかもしれませんね」と説明してくれました。

 何気ない思いつきのアイディアだったようですが、色鮮やかな鯉のぼりは多くの外国人の注目を集めていました。

 筆者のグループで鯉のぼりに一番興味を持ったのは、保全対応で同行したシンガポール海軍の軍人たちで、「これって何を意味するのですか?」と聞いてくるほどでした。また、被写体を探していたメディア関係者も、鯉のぼりをうまく組み合わせた構図で撮影して、日本らしさを演出していました。

 このような国際的なイベントでは、本来であればその軍艦の能力や任務をアピールするのが一番いいことなのかもしれません。しかし、実際には不特定多数の人々が参加する場合、機密保全や対応人員の問題から簡単なことではないようです。

 メディア関係者として見ると、今回の「やはぎ」の展示に物足りない部分があったのは確かですが、少なくとも「鯉のぼり」を複数展示したことで、IMDEXにおける日本の存在感は十分に出せたのではないかと感じました。

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Writer:

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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