変わった伝統 潜水艦が「海賊旗」を掲げるワケ きっかけは心無い言葉への“返答”だった? 英海軍
イギリス海軍では、戦争や紛争で戦果を挙げ帰港した際に、海賊旗を掲揚する習慣があります。一体どのような理由で掲げるようになったのでしょうか。
「潜水艦は卑怯だ」と海軍の幹部が発言
マンガ『ONE PIECE(ワンピース)』は海賊を題材とした作品ということで、主人公たち麦わら海賊団を含め、頻繁に様々なデザインの海賊旗「ジョリーロジャー」が出てきますが、実は現実でもこのジョリーロジャーを掲げている組織があります。イギリス海軍です。

イギリス海軍が海賊旗を掲揚するようになったのは、第一世界大戦中に運用された潜水艦E9が始まりといわれています。以降、同艦だけではなく、多くの潜水艦が海賊旗を掲げるようになり、イギリス海軍の伝統となりました。
そもそもなぜイギリス潜水艦は海賊旗を掲げていたのでしょうか。別にイギリス海軍が過去に民間船に私掠免許与えて、敵対国の船への海賊行為を奨励していたことが理由ではなく、そのきっかけは今から100年以上前、1901年にイギリス海軍が最初の潜水艦を進水させた頃にさかのぼります。
当時の潜水艦はまだ魚雷発射機能がなく、目標艦艇の下に潜って曳航式の機雷をぶつけるか、艦艇の侵入経路に機雷を敷設するといった行動が主任務で、水上艦艇に見つかればひとたまりもないため、戦場となりそうな海域ではバレないように潜りながら任務を行っていました。
こうして隠れるて相手を攻撃する戦法が気に入らなかった軍人も当時はいました。後に第一次大戦中にイギリス海軍の武官の最高位である第一海軍卿となるアーサー・ウィルソン中将(当時)は「卑怯で不公正で全くもってイギリス人らしくない」と評し、「潜水艦の乗組員は捕まった場合、海賊として絞首刑に処すべき」とまで言ったといわれています。
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