「世界初の独自開発超音速ジェット機・改」は飛ぶ? 「21世紀のコンコルド」実現プロセスの現状を聞いた
「初の米国産超音速旅客機」の実現を掲げ、その前段として「世界初の独自開発超音速ジェット機」の開発に成功したブーム。同社は最終目標に向け、どのようなアプローチを行うのでしょうか。同社に取材しました。
新たな試験機つくるの?ブームの答えは
まず同社は「2025年2月10日に行ったXB-1の2回目の超音速飛行により、画期的な飛行試験プログラムの終了を告げた」とし、続いて「XB-1は製造されたコロラド州デンバーへ戻るため現在輸送中であり、今後はXB-1で得た“知見と技術を広げて”『オーバーチュア』の製造へ全力を注ぐ」と現況をコメントしています。
XB-1に続く試験機の開発へ具体的な答えはなかったものの、「知見と技術を広げて」としていることに、「オーバーチュア」と同じサイズのものも含めた、新たな試験機の製作の可能性も含め、さまざまな検討をしているところでしょう。
また、ブームは、2024年のファンボロー航空ショー(イギリス)で「オーバーチュア」の操縦席シミュレーターを展示するなどし、世界的な航空業界の“祭典”で「コンコルド」以降の技術の進化をアピールしました。
2025年6月には、ファンボローと双璧の、かつ世界最大規模の業界向けイベントであるパリ航空ショーが実施されるわけですが、同社はこれに対し「『オーバーチュア』旅客機と装備するシンフォニー・エンジンの製造に完全に集中しているため出展しない」と、返信にありました。これは、広くアピールする場を差し置いても、今後の計画へ細部を詰めることを最優先事項として掲げているのでしょう。
2025年現在は「コンコルド」の設計や製造が始まったころよりも、設計用コンピューターや3Dプリンターなどにより製造技術は格段に進化しています。これらをいかにうまく活用して、「オーバーチュア」がいつ本格的な製造に入るのかが注目されます。
Writer: 相良静造(航空ジャーナリスト)
さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。
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