なぜ? 「異形の“ペタンコ戦車”」まさかのキットに…「日本じゃ知名度低」なのに再現された理由とは
「静岡ホビーショー2025」のホビージャパンブースでは「Sタンク」こと、スウェーデンが開発したStridsvagn 103戦車の試作模型が展示されていました。なぜこの製品をキット化するのか担当者に聞きました。
砲塔が存在しない奇抜な主力戦車
2025年5月14日から18日までツインメッセ静岡で行われた「静岡ホビーショー2025」のホビージャパンブースでは「Sタンク」こと、スウェーデンが開発したStridsvagn 103(ストリッツヴァグン103)戦車の試作模型が展示されていました。この車両は、やけに高さのない平坦な設計、砲塔が存在しないことなどを始め「知る人ぞ知る」ユニーク車両でもありますが、なぜプラモデル化を決断したのでしょうか。ブース担当者に聞きました。

ホビージャパンは以前に、HJモデルキットシリーズ で「1/35 陸上自衛隊 74式戦車」を発売し、その確かな再現度と精巧な造形で話題となりました。その後、 74式戦車の付属パーツや別仕様などの製品の販売が続き、新たな戦車として発売予定などがこの1/35スケールのSタンクになります。
なぜ、陸上自衛隊の74式戦車の次がこれだったのか、担当者は「74式戦車が開発時に参考にした車両のひとつがSタンクだった――ということが理由のひとつです」と話します。
Sタンクは、薄くとがった車体に直接主砲を取り付けた独特の形状をしています。これは、弾薬の自動装てん装置を付けたいという理由のほかに、スウェーデンが当時武装中立国家であった関係で、最初に敵性勢力から攻められることが想定されたため、反撃時の待ち伏せ攻撃を追求した結果、このようなデザインになったといわれています。
待ち伏せとはいえ、砲が全く動かないのは不安があるため、同車には世界で初めて「油気圧式懸架装置」という転輪の高さを個別に調節可能な装備が付けられました。
この装備により傾斜角を変えることが可能で、車体を動かさずに、砲を上下にある程度調整することができるようになっていました。74式戦車にも油圧式懸架装置が装備されており、「Sタンクが世界で初めて採用したこの装置を参考に、74式戦車に搭載した装置を日本独自の技術で開発した経緯があり、それがキット化のきっかけのひとつなりました」と担当者。ちなみに74式戦車の油圧式懸架装置はSタンクのものをさらに発展させたようになっており、上下だけでなく左右にも傾けることが可能になっています。
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