デカすぎて東京に近づけません! JAMSTECが誇る「巨漢」に乗ってきた 船体の“底なしプール” 何のため?

富士山の麓に広がる駿河湾。そこに面した清水港に日本最大級の探査船がいます。JAMSTECが保有する「ちきゅう」は長さや重さだけでなく高さもビッグ! なぜ、ここまで大きいか実際に乗ってハナシを聞いてきました。

研究区画は4階建て

 船体中央のデリック直下が掘削作業のメインステージといえる掘削フロア(ドリルフロア)になります。ここには、掘削機器を操作するための部屋「ドリラーズハウス」があります。室内には「ドリラー」と呼ばれる掘削クルーの専用席(サイバーチェア)があり、掘削作業の責任者から指示を受け、モニターやフロアの作業を見ながらジョイスティックなどを巧みに操って掘削機器を動かします。

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「ちきゅう」の船体中央、掘削フロアにある「ドリラーズハウス」。いうなれば掘削の操作司令室といった場所だ(乗りものニュース編集部撮影)。

 掘削フロアの下層には「ムーンプール」という開口部があり、ここからドリルパイプなどを海中へと降ろします。40mのドリルパイプ(1本10m×4で1セット)を海中に降ろす時間は、気象条件にもよるものの約5分かかるので、1時間だと500mほどだそう。なので、水深3000mだと、そのエリアの海底に届くドリルパイプを降ろすだけでも6時間程度かかるといいます。

 そこからようやく掘削が始まるのですが、掘削の速さは地層の硬さにもよるものの、1時間に3mから30mなので、もしそこが硬い地層だった場合、10m掘り進むのに数時間かかるとのことでした。そのため、ドリルフロアは24時間体制で昼夜を問わず稼働することも。

 ドリルパイプが目的の深度へ達すると、先端中心の開口部直上に設置され、地層を採取します。こうしてサンプル採取器「コアバーレル」が採った「コアサンプル(コア試料)」は、パイプ内を通るワイヤーで船上へと引き上げられたのち船首側にある研究区画へと移送されます。

 研究区画は4階建てで、まずコアサンプルの切断や初期処理(4階)、X線CTスキャンなどでの各種観察(3階)、精細分析(2階)などが行われます。なお最下層の1階は倉庫や会議室、図書室などがあり、ここでデータ解析やレポート作成などが行われます。

「ちきゅう」の定員は200名で、研究航海の際は190人程度が乗り込むこともあります。乗員は大きく「船を動かす人」「掘削する人」「研究する人」「生活を支える人」に分類することができ、彼らが一丸となることで、同船が担うプロジェクトを支えています。

【ポッカリ空いたプールも】JAMSTEC「ちきゅう」を写真で見学してみよう!

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