「戦車ゼロ」だった国が「最新型をしれっと導入」していた…策士オランダが選んだ防衛の最適解 政治的コスパ最強?

ロシアによるウクライナ侵攻で緊迫が続く欧州。そのなかでオランダの動きには、財政合理性と地政学的現実を見据えた、巧妙かつ柔軟な防衛戦略が浮かび上がります。

他国では真似できないオランダならではの戦略だった!?

 こうして見ると、オランダの事例は、軍備をゼロベースで合理化して後に再構築するという選択が、時勢とうまく合致した稀有なモデルケースといえます。

 戦車兵科の「血筋」をドイツと共有しつつ最低限維持し、時勢の変化に対応して最新戦力を最適な形で導入するという戦略は、NATO加盟国であり、戦車王国ドイツと友好な関係を持つオランダだからこそ可能だった側面があります。

 それゆえ、同様の戦略を他国が安易に模倣することは難しいでしょう。実際オランダでも、2011年から2024年まで自前の戦車戦力が無く、外部委託になっていたことで抑止力や即応力の低下を招き、NATO内での立ち位置など外交上の不安定要素となっていたことも指摘されています。

「戦車ゼロ」から最新型の戦車導入に至るオランダの事例は、防衛力の合理化と再構築のバランスをとった国家経営の妙ともいえます。同時にこの事例は、戦車が単なる兵器ではなく、国家の意思や地政学的な立場を示す“政治的ツール”であることを浮き彫りにしたといえるでしょう。

【写真】オランダを守る戦車の昔と今

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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