高速道路の渋滞「いちばん早く進む車線」とは? “なんとなく”じゃないテクニック 専門家に聞いた

渋滞している高速道路では、隣の車線のほうが早く進みそう……と思うかもしれません。実際、どの車線が早く進むのか、専門家に話を聞いてきました。

ちょっとズルく見えません?

 他方、筆者が気になるのは、こうした減少車線からの合流時に、車線が終わる直前まで進み、そこでスッと車線変更して合流する車です。どこか「下品」に見える気がして、筆者自身は決してそうした運転はしません。

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減少車線からの合流は、交通工学的には、ギリギリいっぱいまで減少車線を使うことがよいとも(画像:写真AC)。

 しかし実は、これが「交通工学的には推奨される合流方法」だと、島崎先生は説明します。

「確かに日本では、『列には早めに並ぶこと』が美徳とされやすく、車線が終わるギリギリまで進んで合流する行為に対して、『ズルい』という印象を持たれることがあります。

 しかし交通工学の観点からは、車線が減少する地点では『できるだけ先まで進んで、互い違いに合流する(いわゆる“ジッパー合流”)』ことがもっとも合理的とされています。むしろ、早めに合流することは、道路の容量を十分に活かしきれていないという指摘さえあるのです」(島崎先生)

ICの手前ではまた傾向が違う

 また島崎先生は、「余談」としながらも、車線減少や事故が原因ではない場面における「渋滞しにくい車線とその理由」についても教えてくれました。

「余談ですが、たとえばその先にICがある場合、出口に向かう車両が左車線から抜けていくため、その手前では左車線の流れがスムーズになることがあります。

 逆に、ICからの合流がある地点では、左車線に新たな車両が入ってくるため、相対的に右車線のほうが空いているケースも見られます。

 こうした傾向は、道路構造や交通量の特性によって異なりますので、必ずしも一概には言えませんが、現場での経験から見ても一定の傾向があると言えるでしょう」(島崎先生)

 島崎先生は、交通心理士としての専門知識に加え、トラックドライバーとして全国各地を走った経験も持っており、その解説には机上の理論を超えた説得力があります。

「トラックドライバーをしていた当時、先輩方から教わった知識や、実際の走行中に自分で観察して得た傾向は、後に心理学者として渋滞中の運転行動を分析する際にも非常に役立ちました。現場での体験と心理学の両面から見ても、車線選びにおいては『なんとなく』ではなく、ドライバーの心理や周囲の道路構造を踏まえた合理的な判断ができることで、渋滞中のストレスもある程度軽減できるのではないかと考えています」(島崎先生)

【全然違う!?】渋滞の影響は車線選びで変わる(写真)

Writer:

1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。

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コメント

1件のコメント

  1. 3車線なら一番左を走ります

    速いとか関係なく真ん中と追い越し車線では行ったりきたりと忙しないドライバーが多いからです

    車線変更が多いと事故率が上がる

    詰まってるのが分かってるのに進みが速い車線へ常に行きたがる