渋滞しているのに「謎の車間距離を開けるクルマ」が前に…。なぜ適切な距離を保てないのでしょうか?

長い渋滞中、車間距離を適切に保たず、過度にスカスカの状態で進むドライバーがいます。「謎の車間距離」はなぜ生じるのでしょうか。専門家に聞いてみました。

「謎の車間距離」の心理推測4パターン

 長い渋滞中、車間距離を適切に保たず、過度にスカスカの状態でジワジワと前に進む人がいます。結果、そのスカスカの車間距離の中に、別の車線からどんどんクルマが入ってきたりして、後続車たちが余計にイラッとしてしまうことも。しかし、交通社会はみんなの社会。渋滞中に「謎の車間距離」を開ける人の心理状況を知り、この心情に寄り添ってあげることも必要です。

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渋滞中は少しでも前に進むべきだと考える人は多いはずだが…(画像:写真AC)

 交通心理士で近畿大学物理工学部准教授の島崎 敢先生にその心理状況について解説してもらいました。

 島崎先生は、以下はあくまでも推測でひとつの解釈だとしながらも、「謎の車間距離」を開ける人の心理状況にはいくつかのパターンがあるのではないかと指摘します。その例として、以下のような3つのような要因を挙げました。

1.注意散漫の可能性

「渋滞中の単調な状況では、ドライバーがスマートフォンを操作するなど他の活動に気を取られ、前方車両の動きに十分な注意を払っていないことがあるかもしれません。このような場合、前の車が動き出したことに気づくのが遅れ、結果として車間距離が開いてしまう可能性があります」(島崎先生)

2.燃費への配慮の可能性

「一部のドライバーは、『どうせ先に進んでも詰まるのだから』という考えから、頻繁な加減速を避けようとする場合があるでしょう。クリープ現象のみを利用してゆっくりと前進し、燃料消費を抑えようとする意識が働いている可能性があります」(同)

3.乗り心地や安全性への配慮の可能性

「車内に他の乗客がいる、または荷物がある場合、急な加減速を避け、滑らかな運転を心がけることで、乗車の快適性を保とうとすることも考えられます。さらに、細かい点ではありますが、ブレーキパッドの摩耗を抑えるために頻繁なブレーキ操作を避けるという意識が働いている可能性も否定できません」(同)

4.左足が疲れている可能性

「最近は多くお車がオートマになりましたが、マニュアル車の場合は発信停止時にクラッチを踏む必要があり、発進時には半クラッチ状態も作らなければなりません。これが頻繁になると左足が疲れてくるので、『なるべく停止を避けたい』という心理が働きます。特にクラッチが重い大型車ではこの傾向は顕著かもしれません」(同)

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