米軍のイージス艦に見慣れないハコ見っけ!「アレ何?」←士官「答えられません」その正体は?

シンガポールでレーザー兵器を積んだアメリカ海軍の駆逐艦に乗ることができました。しかし、乗員に詳細を聞こうとすると途端に口ごもり、最終的に「グーグル」で調べろとの答え。一体どのようなものなのでしょうか。

目くらましが目的の非殺傷兵器

 レーザー兵器といえば、一般の人々はSFの世界に登場する光線兵器をイメージすることでしょう。銃弾やミサイルの代わりに光体が飛翔し、目標に命中すると爆発して対象物を破壊するというもの。しかし、「ODIN」はそのような攻撃兵器ではなく、レーザーを使用して目標のカメラセンサーを妨害する非殺傷兵器です。

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駆逐艦「デューイ」の前部甲板。手前にあるのがミサイルを収納したVLS(垂直発射装置)で、その後ろの台座に設置されているのが「AN/SEQ-4 ODIN」(布留川 司撮影)。

 名称の「ODIN」と は「Optical Dazzling Interdictor, Navy」(オプティカル・ダズリング・インターディクター・ネイビー)の頭文字を取った造語で、日本語に訳すと海軍用光学目眩まし妨害装置となります。ダズリング(Dazzling)の原型であるダズル(dazzle)とは「強烈な光で目をくらませる」という意味があり、このことから「視界を奪う非致死性兵器」をダズラー(Dazzler)と呼んだりもします。

「AN/SEQ-4 ODIN」はレーザーを使ったダズラー兵器で、飛来する無人機のカメラセンサーにレーザーを照射して、その無人機を撃墜することなく偵察能力だけを奪うことを目的にしています。

 近年、無人機の活用は陸海空のあらゆる戦場で進められており、海軍においても無人機に対抗できる兵器の開発は急務となっていました。「ODIN」も2017年に承認され、約2年半という短い期間で実用化された装備で、駆逐艦「デューイ」以外のアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦にも搭載が進められており、最終的に8隻の艦に装備される予定です。

 ただ、「AN/SEQ-4 ODIN」はアメリカ海軍のレーザー兵器開発において実用化を急いだ急造の兵器ともいえ、すでに、より高性能なレーザー兵器の開発が進められています。

【クルリと回転!】これが最新兵器「オーディン」の起動時の姿です(写真)

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