コスパ最強兵器=「安すぎるドローン」はここまで進んでいた! 脅威の「コレでよし」な世界とは?
日進月歩で進化する無人機ですが、高度化するのではなく、“いかに安価に作るか”も戦局を左右する重要な思想になりつつあります。「安すぎるドローン」の世界も驚くべき発展を遂げていました。
これぞ「安すぎるドローン?」
2025年5月21日から23日まで幕張メッセで開催された防衛総合イベント「DSEI Japan 2025」には、国内の重工メーカーや知名度の高い海外メーカーだけでなく、これから防衛産業への参入を目指すスタートアップ企業も多数参加していました。

そんな企業の一つである株式会社AirKamuy(エアカムイ)が出展したUAS「Air Kamuy150」は、機体構造に段ボールを使用しています。段ボールは金属やFRP(強化プラスチック)などの素材に比べれば製造や輸送にかかるコストが安く、金属などに比べてレーダーに探知されにくいという副次的効果もあります。
同社はAirKamuy150の用途として、洋上監視や災害時の貨物輸送などを挙げていますが、自爆突入型UAS、もしくはUASへの対処訓練用の模擬標的としても、十分使えるのではないかと筆者は思います。
航空自衛隊が運用しているMQ-4「グローバルホーク」のような、長期に渡って使用する無人装備は、有人装備並みの素材で製造する必要がありますが、自爆突入型UASやUSVのような1回限りの使用を前提とするものや、ファイアストーム「テンペスト」のように短期間の運用を前提とする無人装備は「作りやすさ」「コストの安さ」がモノを言います。
前に述べたLIGNex1の担当者が言うように、短期間でできる限り安価に大量生産できるのかが成否を左右すると思いますし、それを実現するため、アディティブマニファクチャリングのような製造手法や、段ボールのような安価な素材の無人防衛装備品への適用は、今後増えていくものと思われます。
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
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