「中東脱出」自衛隊の輸送機に乗せられるのは“日本人だけじゃない” 変化した「在外邦人等輸送」 苦い経験をしっかり反映

中東情勢の急変を受けて、邦人等輸送準備のため航空自衛隊の輸送機がアフリカのジブチ共和国へ派遣されることとなりました。情勢が悪化した地域では自衛隊による在外邦人の退避が行われますが、その根拠となる法律は4年前の苦い経験を受けて改正されています。

中東情勢を受けて空自輸送機がジブチへ

 2025年6月19日、イランとイスラエルの間の武力紛争に端を発する中東情勢の急変を受けて、外務大臣から防衛大臣に対し、邦人等の輸送の実施に必要となる準備行為の依頼がありました。これを受け、当日防衛大臣から、航空自衛隊の輸送機を経由地となるジブチ共和国まで移動させることが、統合作戦司令官に命じられました。

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在外邦人の避難を想定した訓練の様子(画像:陸上自衛隊)。

 これを受けて、各種調整が整い次第、航空自衛隊の輸送機をはじめとする自衛隊部隊がジブチ共和国に向け出発する予定とのことです。

 仮に情勢がさらに悪化し、在イラン・イスラエル邦人の国外退避が必要となった場合には、自衛隊の輸送機による「在外邦人等の輸送」が実施されることになります。その根拠となるのが、自衛隊法第84条の4の規定です。

 海外における災害や大規模な騒乱などにより、日本人の生命や身体の保護が必要となった際に適用されます。原則として、そうした状況ではまず民間航空機などによる自主的な退避などが優先されますが、それが不可能となった場合には自衛隊の出番となる、というわけです。

 自衛隊による在外邦人等輸送は、緊急時に在外邦人輸送を行うことを想定していた政府専用機の運用が、当時の総理府から防衛庁へと移管されたことを受けて、1994(平成6)年の自衛隊法改正によって初めて盛り込まれたもの。当時は自衛隊法第100条の8に規定されていました。ただし、この規定は自衛隊法の章立てでいうと第8章「雑則」というところに置かれる、いわゆる「付随的任務」でした。

【縁の下の力持ち】これが空自の”戦闘機じゃない”航空機たちです(画像)

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