上越、吾妻、信越線に211系電車を改良投入、利便性向上へ 107、115系は順次引退

群馬県内の上越線、吾妻線、信越本線へ2016年8月22日から、その環境に合わせて改良された211系電車が投入されることになりました。またこれにともない、従来それら各線を走っていた107系電車、115系電車は順次、引退する見込みです。

ドアが手動からボタンひとつの自動に

 JR東日本高崎支社は2016年8月9日(火)、群馬県内を走る上越線(高崎~水上)、吾妻線(渋川~大前)、信越本線(高崎~横川)に8月22日(月)から順次、211系電車を投入すると発表しました。

 211系は、国鉄時代の1985(昭和60)年に登場した普通列車向けの電車。今回、先述の各線区に投入されるのは、かつて高崎線(上野・大宮~高崎)や宇都宮線(上野~黒磯)を走り、現在は両毛線(高崎・新前橋~小山)などで使われている車両で、新車ではありません。しかしJR東日本高崎支社によると、乗降用ドアの足元に滑り止めを設置する、乗降用ドアと座席の境目へ寒さよけになる仕切りを設置する、降雪地の走行になることからヒーター(暖房)の温度設定を調節する、床下へ搭載する機器に対策をする、といった改良をしているそうです。

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高崎駅に停車中の115系電車。緑とオレンジの「湘南色」を身にまとう(2009年1月、恵 知仁撮影)。

 また、対象の3線区で現在使用されている107系電車と115系電車は乗降時、ドアを手で開ける必要がありましたが、211系はボタン操作が可能なため、「これまでより利用しやすい車両になります」(JR東日本高崎支社広報)とのこと。

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改良のうえ、新たに上越線と吾妻線、信越本線に投入される211系電車。写真はイメージ(写真出典:JR東日本高崎支社)。

 新たに投入される211系は窓と平行に長い座席が設置された「ロングシート」タイプの車両で、定員が増えることから、混雑時の利用もしやすくなるといいます。

107系と115系は順次、引退へ 予定時期は?

 このたびの上越線(高崎~水上)、吾妻線(渋川~大前)、信越本線(高崎~横川)への211系投入により、現在そこで使用されている107系と115系は、JR東日本高崎支社によると順次、引退する予定とのこと。ただ具体的にいつまでに引退とは、現時点では決まっていないそうです。

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165系急行形電車を普通列車向けに造りかえたともいえる107系電車(2003年5月、恵 知仁撮影)。

 107系は、国鉄分割民営化後の1988(昭和63)年に登場。緑とオレンジのツートンカラー(湘南色)を身にまとい、国鉄時代に多くの急行列車で使用されていた165系急行形電車の機器(モーターや冷房装置など)を流用し、製作された車両です。かんたんにいえば、役目を終えた急行形電車を普通列車用に造りかえたもの、とできるでしょう。

 この107系は現在、群馬県周辺でしか走っていないため、211系投入によりすべて引退すれば、107系自体がすべて引退することになります。

 115系は、国鉄時代の1963(昭和38)年に登場。寒冷地や坂の多い路線での走行を想定した普通列車向けの電車で、東は関東甲信越の宇都宮線や高崎線、信越本線、中央本線から西は山口県の山陽本線まで、広い範囲で使用されました。初登場から半世紀以上を経た現在でも各地を走っていますが、次第に数を減らしています。

【了】

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Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道ライター、イラストレーター。「鉄道」や「旅」に関する執筆活動や絵本の制作を行っているほか、鉄道車両のデザインにも携わる。子供の頃からの旅鉄&撮り鉄で、日本国内の鉄道はJR・私鉄の全線に乗車済み。完乗駅はJRが稚内で、私鉄が間藤。メインは「鉄道」だが、基本的に「乗りもの」好き。

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コメント

9件のコメント

  1. 他のニュースサイトで、高崎支社の211系にボタン式自動ドア設置みたいな記事があったのでおかしいな?と思っていたら、真相はこういう事だったんですね。

  2. 私自身は今回211系が投入される地域の沿線民でもなければ地域の事情も知らない、というより知る気もないので好き勝手言うが、気づいている人は気づいているだろうけど、ロングシートの座席定員と転換or回転クロスシートの座席定員は大概近接していることが多い。要は立席区画と定員の差でしかないし、空いてる場合はロングシートの方がクロスシート特有の圧迫感が無いので却って快適だったりする。211系や18切符連中には悪名高いJR東海313系静岡地区車およびキハ25形だと少し硬いバケットタイプで快適性は人によるけど、JR西207系原型車や近鉄GTO-VVVF制御車などのロングシートなら程よいクッションと比較的高く奥行きのある背面なのでこのタイプのロングシートで編成1・2ヶ所のトイレがあれば、わざわざコストや清掃および座席マナー面で劣り、足元が見えにくいために不審物を仕掛けやすかったりで防犯面でも劣る転換or回転クロスシートを強引に入れるよりも、それらに比肩する快適性を持つロングシートを投入する方がはるかにコストかからない(耐寒設備や、209系で大問題となった換気用の開閉窓ぐらいは当然必要だが)し、せいぜい増結用か検査予備として2編成程の余裕さえあれば混雑度や時間帯で車両運用を使い分ける必要も無くなるから、必要車両数を抑制する必要のある地方路線はロングシート車、車体には錆や腐食を考慮する必要性の低いアルミニウム合金やステンレス鋼による車両の方が何かと都合良かったりする。
    欠点があるとすれば、211系自体が静岡地区の6000番台以外はMMユニット形式なのでどうしても3両以上の編成となってしまう為、105系や213系のような2両編成の1M車でロングシートの方がホーム有効長の範囲内で編成両数が自在に組めて良かったのだが…。
    あとは寒冷地で運用される以上はせめてラインカラーに工夫を凝らせてステンレス車体故の冷たさを軽減出来れば充分なハズ。

  3. はあ?30年前の国鉄設計の電車を投入してなんでニュースになる?

  4. かつて仕事の関係で日光線沿線に住み、親戚が群馬北部に多くいる者です。
    日光の107系はロングシートだったため味気なさを感じながら乗っていましたが、偶然代車の115系のクロスシートに座った時シートの硬さから107系の良さを感じました。
    また、沼田周辺は過疎化により老人が比較的多く、年齢によっては駅の階段を昇り降りするだけでなくバスのステップを昇り降りすることすら難儀だそうです。この面からも老人が鉄道やバスを利用せず自家用車に乗らなければならないという実情があります。
    シートがロングやクロスなどに関わらず、乗客にとって利用しやすい状況と設備をもっとJR東日本は研究してほしいと個人的に思います。¥さんの言う通り車両数と本数を減らしすぎて乗客を減らしているという一面もあること。
    なお沼田からは前橋行きのバスが関越道経由で運行されています。前橋駅には行かず県庁と群大病院に行きますが。直接的な競争は避けたようですね。
    あと匿名さんはクロスシートは防犯面で劣ると言っていますが、欧州の普通列車はほとんどがクロスシートです。防犯カメラも完備されています。
    主観的な発言ですが参考にしていただければと。

  5. 確かに柔軟性はロングのほうがつけやすいかもしれませんが、クロスがロングより防犯面で劣るのならば諸外国のクロスシートももっと大問題になっているでしょう。
    混雑時にはロングでも目の前に人が立ち、強い圧迫感を感じるのでロングならば圧迫感がないということはないと思います。
    これからさらに人口は減るのだから、車に完敗しないために要は実態に合った改良は不可欠です。
    何しろ中古の車両を持ってきただけなのに、「ボタン式になってご利用が便利に」だとか、
    いかにも便利になるかのようにPRするのが東日本の一時しのぎ体質が見えるところです。