飛行機の「巨大な皿、まな板、こぶ」もう不要!? 空飛ぶレーダーサイト、時代は「無人機」へ 日本も注目?
米GA-ASIとスウェーデンのサーブが、早期警戒機型のUAS(無人航空機システム)を共同開発します。一体どの国に狙いを定めているのでしょうか。大きなレーダーシステムを搭載した有人機という早期警戒機のイメージも変わりつつあります。
日本も「艦上運用可能な早期警戒機」を検討
実のところGA-ASIとサーブが協力して開発する早期警戒型UASは、日本とも無関係なわけではありません。

防衛装備庁は2025年1月15日、「艦上運用可能な早期警戒機の検討」を行う事業者の一般競争入札を実施しています。
この入札が成立したのか否かは不明ですし、防衛装備庁は落札者が検討を行う艦上運用可能な早期警戒機の詳細を発表していませんが、筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は、いずも型ヘリコプター搭載護衛艦で運用可能な早期警戒機を指すものではないかと考えています。
2018年12月15日付の日刊工業新聞は、政府関係者の話として、いずも型が軽空母として運用される時は、航空自衛隊のE-767早期警戒管制機を陸上基地から発進させ、いずも型の支援にあたらせる案が防衛省で検討されていると報じています。この検討を重ねた結果、それでは不十分だという結論に達したため、艦上運用可能な早期警戒機の導入を検討することになったのではないでしょうか。
いずも型(約247m)はクイーン・エリザベス級(約277m)に比べれば飛行甲板の全長が短いため、そのままMQ-9Bが発着艦できるのかは不明ですが、GA-ASIが開発を進めているMQ-9BのSTOL(短距離離着陸)を可能にするSTOLキットや、GA-ASIの親会社であるジェネラル・アトミクスが2025年1月に開発構想を発表した、電磁カタパルトを使用するUAS射出システムを追加すれば、十分運用可能であると考えられます。
海上自衛隊は既にMQ-9Bシリーズの「シーガーディアン」の採用を決定していますので、順調に開発が進めば、早期警戒機型MQ-9Bは、「艦上運用可能な早期警戒機」の有力な選択肢になり得るのではないかと思います。
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
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