日本の「対艦番長」F-2導入検討――フィリピン本気? 能力的にはバッチリだけど“現実的とは全く思えない”ワケ
フィリピン空軍が航空自衛隊のF-2戦闘機を将来取得する戦闘機候補として検討していることを明かしました。フィリピンが置かれた状況に対し、F-2は能力的にも合致するかもしれません。ただし輸出の実現は難しそうです。
フィリピンに「対艦番長」はピッタリ!?
フィリピン空軍のアーサー・コーデュラ司令官は2025年6月24日に行われたメディアブリーフィングにて、フィリピン空軍が将来取得する戦闘機の候補の一つとして、航空自衛隊が運用しているF-2戦闘機の検討を行っていることを明らかにしました。なぜいま、F-2に着目するのか、現在のフィリピンを取り巻く状況から紐解きます。

フィリピン空軍は2005年にF-5A/B「フリーダムファイター」を退役させてから10年近く超音速戦闘機を保有していませんでした。しかし2014年に韓国からFA-50PH 12機の導入を決定して超音速戦闘機戦力を復活させています。
フィリピン空軍はFA-50PHの性能に満足しているようで、2025年12月に12機の追加発注を行っています。FA-50PHは導入時におけるフィリピンの安全保障上、最大の脅威であったイスラム原理主義武装勢力や、共産系ゲリラなどに対する対地攻撃で十分にその有用性を証明しました。国籍不明機に対する緊急発進も行える戦闘機です。
しかし、現在フィリピン政府が進めている「CADC」(包括的群島防衛構想)を達成するには、FA-50PHはやや能力不足なのではないかと筆者(竹内修:軍事ジャーナリスト)は思います。
フィリピンは大小7000以上の島で構成される群島国家です。CADCは国土を構成する島嶼(とうしょ)を敵性勢力に占領されることを防ぐという国防構想で、この構想を実現するには、敵性勢力の輸送船や揚陸艦などを洋上で撃破する必要があります。
F-2はネットなどでは「対艦番長」とも評されるほど、対艦攻撃能力の高い戦闘機で、CADCを実現するための要素としては最適解だと思いますし、それ故にフィリピン空軍は導入を検討しているのでしょう。さらに言えば、フィリピンの経済状況やアメリカの貿易政策も影響しているのではないかと筆者は思います。
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