日本の「対艦番長」F-2導入検討――フィリピン本気? 能力的にはバッチリだけど“現実的とは全く思えない”ワケ
フィリピン空軍が航空自衛隊のF-2戦闘機を将来取得する戦闘機候補として検討していることを明かしました。フィリピンが置かれた状況に対し、F-2は能力的にも合致するかもしれません。ただし輸出の実現は難しそうです。
「寿命が分かる仕組み」が通用しないF-2
航空自衛隊が2021年3月まで運用していたF-4EJ改戦闘機には、個々の機体の飛行実績などを個別に管理し、それをコンピューター処理して、より正確な機体の疲労度と構造限界を決定する「ASIP」(航空機構造保全プログラム)と呼ばれる管理プログラムが採用されていました。ASIPの導入によってF-4EJ改は約3000時間と想定されていた運用寿命を、年間飛行時間を200時間とすることで、5000時間にまで延長しました。

しかし、F-2には複合材料が多用されているため、金属製のF-4EJ改のようにASIPを使って残された機体の運用寿命を把握することが困難なのです。
前に述べたようにF-2はCADC構想に合致していますし、2000年の運用開始からまもなく四半世紀になる現在でも、一度も乗員の死亡事故が起きていない、世界的にも稀有な戦闘機です。
フィリピン空軍がF-2を高く評価してくれるのは、日本人として誇らしくもあるのですが、同空軍のF-2購入は、あまり現実的な話ではないと筆者は思います。
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
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