こ、これが「スクーター」だというのか!? 常識をバッサリ捨て去ったスズキの「類を見ない原チャリ」ストリートマジックのスゴさ
1997年にスズキが発売した原付「ストリートマジック」は、オートマチックのスクーターと同じ機構でありながら、またがって乗る本格的なオートバイ然とした見た目を持つ、原付スクーターの常識を覆す1台でした。
あえて“またがる”スクーター!? 「ストリートマジック」
1997年、スズキは原付バイクの「ストリートマジック」を発売しました。このモデルは見た目こそスポーツタイプのまたがって乗るバイクでしたが、その正体はなんとオートマチックのスクーター。「足を揃えて乗れる手軽なバイク」という原付スクーターの常識を覆す、きわめてユニークな1台でした。
一般的なバイクは、エンジンやタンク類がライダーの足元に位置するため、足を揃えて乗ることはできません。そこで1970年代後半、国内のメーカーが次々に採用していったのが、イタリアの「ベスパ」などが採用していた「ユニットスイング式」というレイアウトです。
これはエンジンなどのパワートレインユニットを後輪付近に集約し、リアサスペンションのスイングアーム部分と一体化して配置する設計で、足元から機能部品を無くせるのが最大のメリットでした。ユニットスイング式の原付は、女性などでも足を揃えて気軽に乗れるバイクとして大ヒット。1980年代のスクーターブーム到来につながりました。
ところが、ストリートマジックはユニットスイング式を採用しながら、フレームやタンクをライダーの股下の高い位置に配置したモデルとして開発されました。「足を揃えて乗れる」という利点を捨て去り、本格的なバイクらしい見た目や雰囲気と、オートマチックスクーターの手軽さを両立していたのです。
まさに逆転の発想から生まれたストリートマジックですが、一方で最高出力7.2psの高性能エンジンや、ロードスポーツ並みの高い剛性を持つツインチューブフレームも装備。さらにはエンケイ製アルミキャストホイールを備えたハイグレードの「50S」もラインナップし、「本格的なバイクに乗ってみたいけど、メンテは面倒だし、ギア変速も難しそう」と考えていたライトユーザーの開拓に見事成功しました。




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