護衛艦でたま~に聞こえる「ピー」音のナゾ 実は何種類も音色がある!? どう鳴らしているのか
海上自衛隊では実は笛で合図を送るときがあります。「サイドパイプ」と呼ばれるもので、伝統のある道具でもあります。
実はちゃんと吹くのは難しい?
海上自衛隊に入隊すると、まず基本の訓練とともにこのサイドパイプの練習も始まります。陸上部隊でも一部サイドパイプを使う場面があるそうで、艦艇勤務以外の隊員も全員練習させられるそうです。

笛そのものは単純な構造で、息を吹き込むと音が出るのですが、この音を出すには多少のコツがいるといいます。2、3日も練習すれば、音自体は出すことができるようになりますが、そこから合図を伝えるための、独特の音階を吹き鳴らせるようになるのは、個人差があり、人によってはかなり難しく感じる人もいるようです。
ちなみに、元海上自衛官に聞くところによると、なぜか、関西出身者の方が上達も早く、関東以北出身者の方が苦労することが多いとか。言葉のイントネーションの違いがサイドパイプの上達に関係しているのかどうかはわかりません。ただ笛の音がしっかり出ずに失敗した場合は、その後の号令で大きな声で張り上げ誤魔化すというのが定番の戦術で、これは高本さんの動画でも語られていました。
さて、海上自衛官全員が吹けるこのサイドパイプですが、艦艇勤務でも科や分隊によって、その使用頻度は大きく違うといいます。
サイドパイプを一番多く使用するのは舷門(船の玄関)で、その出入りを管理する隊員となりますが、大きな艦艇では第1分隊の砲雷科や第2分隊の船務科、航海科などがその任務にあたることが多く、それ以外の第3~第5分隊はほとんどサイドパイプを使用することはないといいます。逆に掃海艇などの小さな艦艇では、すべての乗員が舷門の当直にあたるため、サイドパイプを吹く機会があるといいます。
船務科や航海科の隊員の中には、自分で音の出る玉の穴の部分を研磨し、より良い音を出す研究に励む猛者もいるとか。より美しい音色を出せるサイドパイプは、よく磨き上げられて後輩へと受け継がれていく、などという伝統も一部にはあるといいます。また、そこまでこだわりはなくても、つけられた飾り紐を自分好みに結び、ちょっとしたおしゃれを楽しむというようなこともあるようです。
コメント